まとめてポン!2003年7月編
エデンより彼方に
ターミネーター 3
チャーリーズ・エンジェル フルスロットル
テープ
デッドベイビーズ
トーク・トゥー・ハー
BORDER LINE
マトリックス リローデッド
マニトの靴
エデンより彼方に
「永遠に輝く地を探して・・・」
今まで完璧だと思えた生活が、あることをきっかけとして、一瞬にして根底から崩れ去ったらあたしたちはどうするだろうか?そんな疑問をあたしたちに投げかけるこの作品、しかも時代は1950年代、まだまだ保守的な思想と偏見が根強く蔓延る時代。そんな時代に夫の秘密と許されざる恋と周囲の好奇の目に晒され、今までの"理想の主婦"から一転、運命の流れに翻弄されながらも、今までの生活は虚飾に満ちたうわべだけものだということに気付き、自分を見失わないように強く生きるキャシーをジュリアン・ムーアが好演している。時代背景や家庭環境などが「めぐりあう時間たち」 とクロスしているにもかかわらず、あちらの心の中にぽっかり開いた空虚さと心の闇を抱えて生きるローラとはまた違った女性像を見事に演じ切っているといっていいだろう。
また、人物描写以外にも、いかにもメロドラマ風の色彩感覚、1950年代のファッション、そして音楽が絶妙にストーリーにマッチし、盛り上げてくれる。こうしてメロドラマ風に仕上げることで、妙な重さを感じさせることなく、ジワジワと余韻の残る作風になったのではなかろうか。
ただ、ラストですべてのことにケリを付け、前に進んでいこうとするキャシーだけど、はたしてその先にあるのは"希望"だけなんだろうか?あの時代であるだけに、もしかしたらより厳しい"茨の道"なのかも・・・。
ターミネーター 3
「恐れるな。未来は変えられる。」
前作から12年、「2」 でいわば結末を迎えたかのようなこの作品が、「何故今さら?」って感じで戻ってきた。まさに"I
was back."だなこりゃ(笑)。すでに観た周囲の声は概ね悪評が高く、どんなもんかとさほど大きな期待をせずに観に行ったら、いやいやどうして、面白いじゃん。やっぱ、実際に自分の目で確かめないことにはその作品を評価することなんて出来ないってことだよね。
ま、そりゃ確かに面白いといっても、「1」 や「2」 を超えてはいないよ。だけどね、監督が交代したことによって、「1」 や「2」 のネタの使いまわしというよりも、「1」 と「2」 へのオマージュみたいに「1」 や「2」 を想起させるネタが散りばめられていたり、今回もT−800を演じるシュワちゃんのキャラの位置付け(未来でジョン・コナーを殺したT−800が、ケイトに捕らえられてプログラムを書き換えられて今度は彼女を守るために過去へ送り込まれる)なんかは「お!」と思わせられるし、所謂"ハリウッド"的ではないあのエンディングも非常に衝撃的(ま、この点に付いては、「結局未来を変えることなんて出来ないじゃん。」というツッコミをすることは出来るんだけどね(笑))。小難しい理屈をこねずに観れば、結構よく出来たSF作品に仕上がっているんじゃないのかな。
それから、徐々に"サラ・コナー"化していく(笑)ケイト(これは間違いなく「1」 を意識してる。ってことは、実は今回の主役はジョンではなく、ケイトだったりするのかな)を演じるクレア・デーンズや、無機質、無表情でいかにも"殺人機械"といった雰囲気を全身からプンプン醸し出すT-X(美しく強いっていうのがいいんだよな〜)を演じるクリスタナ・ローケンのキャラが非常に魅力的だし、シュワちゃんにしても年齢からくるものはあるにしても、それでもあの鍛えられた肉体で決めるアクションはまだまだ健在。最後まで飽きずに楽しめたのは間違いない。あ、ジョン・コナーを演じるニック・スタールはどうだったかって?ま、あたしはエドワード・ファーロングにさしたる思い入れがあるわけではないのでさほど気にはならなかったけど、それでもやっぱあまりにも違いすぎかも(汗)。ニック・スタール自身はとてもいい役者だと思うんだけどね。私見では、エドワード・ファーロングが戻って来られないんだったら、ニック・スタールよりも、「ブリー」 で彼と共演したブラッド・レンフロの方がまだイメージとしては近いのでは?って思った。
チャーリーズ・エンジェル フルスロットル
「正義を守ると、愛が死ぬ。」
元々この作品は観るつもりはなかったんだけど、たまたま地上波で放送された前作を観て、その突き抜けたおバカ加減に魅了され(笑)、しかもサントラもかなりあたし好みのサウンド満載らしいので、こりゃいっちょ観とくべかというかなりお気楽モードで劇場に足を運んだら大正解。前作同様の"オバカ・パワー・フルスロットル"にKOされましたです(笑)。これはもう理屈抜きで楽しむしかない作品でしょ。
まずオープニングのキャメロン・ディアスのあのシーンで掴みはOK。嬉々としてやっているのが分かる。で、人質として捕らえられてたのがロバート・パトリックだっていうんだからたまらない。オープニングのクレジットで彼の名前を見つけて、まさか彼がこの作品に出てるなんて知らなかったから、それだけで狂喜乱舞(笑)。最初FBIだなんていうから、「どうしちゃったの?」って思ったけど、やっぱり彼には悪役が似合う(笑)。
それと、あたし的に一番のツボだったのが、ドリュー・バリモアのAC/DC &JUDAS PRIEST のTシャツ姿。もうね〜、このシーンだけでこの作品を観た価値があるというもの。しかも、AC/DC のTシャツにハンチング帽なんて、間違いなくブライアン・ジョンソンを意識してると見た(笑)。他のコスプレ・ファッションもそれなりに良かったけど、やっぱこれが一番でしょ。そしてノリのいいサントラもね。NICKELBACK &KID ROCK による"Saturday Night's Alright(For Fighting)" もクールなアレンジだし、BON JOVI にJOURNEY、DAVID BOWIE、LOVERBOY なんかもグー(死語)。
その他、非常におバカな会話や、大金かけて全身整形したデミ・ムーアの変貌振り、ストーリー的にもドリュー・バリモア演じるディランの過去が明らかになったりと見所十分。だけど、某ブルース・ウィリスは、あれはどう見ても"カメオ"ぢゃないぞ(笑)。
テープ
「疑惑はまわる。」
オリジナルはオフ・ブロードウェイで大ヒットを記録した同名戯曲。舞台はホテルの一室。そして登場人物も久しぶりに再会した高校時代の友人の3人だけ。この閉ざされた空間で繰り広げられる3人のヒリヒリとしたセリフの応酬がなんともスリリングだ。最初はヤクの売人ヴィンセントと映画監督ジョンのふたり、後半から地方検事補エイミーが絡み、会話の主導権がコロコロ入れ替わる。そこにあるのは物事、事象、体験というものに、絶対的に客観的な事実ということはなく、それぞれの人間の受け取り方、記憶、感じ方でいかようにも色を変えていくということ。ある意味それがその人間にとって"事実"ではなく"真実"だったりするわけだ。ヴィンセントがテープにジョンの告白を録音したところでそのことは変わらない。
この作品の本質がそういうものだから、今回の3人が問題にしている体験が"レイプしたかしないか"であったとしても、それはこの作品の本質を炙り出すための小道具のひとつに過ぎない。だから、その表層的な事象だけに目を奪われてしまうと、この作品の本質を見失ってしまうのではなかろうか。
また、3人のキャラクターを演じるイーサン・ホーク、ロバート・ショーン・レイナード、ユマ・サーマンの緊張感溢れる演技も見所のひとつだろう。特にヴィンセントを演じるイーサン・ホークのキレっぷり、そして作品自体とはあんまり関係ないけどユマ・サーマンのキャリア女性としてのいい女っぷり(笑)。
もっとも、彼らのセリフの応酬に巻き込まれ、当然のことながら具体的な結末など何もないかのような、観客が突き放され、放り出されるようなラストには、観終わってグッタリと疲れが噴出して、決して気分爽快というわけではないけどね(苦笑)。
デッドベイビーズ
「10人の変人。殺人者1人」
いやはや、こんなにアクの強い個性的で妙ちくりんなキャラが10人も集まって、アルコール、ドラッグ、SEXに大はしゃぎしちゃうってだけでも「ブリティッシュ〜(謎)」って大喜びしちゃうんだけど、そこに得体の知れない殺人者が紛れ込んで"フーダニット"的な世界に展開してさらに大騒ぎ。こういう訳分かんないパワーを持った作品って大好きだな〜。もっとも、描写とか表現とかセリフ回しとか結構お下劣極まりないエログロな部分もあるから、間違いなく好き嫌いが分かれるだろうし、良い子は観ちゃいけません(爆)。
で、この作品の中心となるクエンティンを演じるポール・ベタニーがまたいいんだわ。「シックス・センス」 や「ラッキー・ブレイク」 で御馴染みのオリビア・ウィリアムズを始めとして(今回は彼女のサービス・カットもあり(謎笑))、殺人者の影に怯えながらも快楽に溺れる他のキャラもそれぞれいいんだけど、彼のあのとにかくキレかかったキャラの存在感は群を抜く。彼がいることでハチャメチャな中にも一本筋が通った感じ。って、所詮はB級エログロ・ムービーだけど(汗爆)。
トーク・トゥー・ハー
「深い眠りの底でも、女は女であり続ける。」
2003年のアカデミー賞最優秀脚本賞を受賞したこの作品、片や交通事故で昏睡状態に陥ったアリシアに対して4年もの間献身的な看護を続け、彼女に語りかけ、呼びかける看護士ベニグノ、片や闘牛中にアクシデントで同じように昏睡状態に陥った女闘牛士リディアに対して動揺して触れることもできずに涙することしかできないマルコ。愛する女性の同じような姿を前にして対照的な行動を取るふたりの男の触れ合いを通じて人間の"愛"と"孤独"を淡々とした展開の中に描き出す、観終わってジワジワとくる見事な余韻の残る秀作だ。
ベニグノとマルコ、彼らのアリシアとリディアに対する想いには差異があったであろう。リディアの死を知ったときのマルコの表情からもそれは明確。一方、ベニグノのアリシアに対する気持ち。彼女への献身的な看護まではいい。だから、最後にアリシアに訪れたあのことを"愛の奇跡"と呼んでいいのかも知れない。だけど、その前の彼の行為にはさすがに共感できない。いくら愛しているからといっても。ここまできたら、これを"愛の形"と言えるのだろうか。それでも、たとえ彼の行動に共感できないとしても、15年間家の中に閉じこもり、母親の介護を続けてきた、外部とほとんどコミュニケーションを取ることなく過ごしてきた彼の心の中に巣食うどうしようもなく深い孤独の闇、これは間違いなく痛く哀しい。それ故に最後にあのような行動を取ってしまったのだとしたら。そして彼の辿った哀しい末路・・・。そんなドヨ〜ンとした気持ちも、ラストが将来に対する一筋の希望の光が感じられる終わり方をしていることで払拭することができる。
また、全編を通じて使われる音楽が作品にマッチしていてとても素敵だし、それよりも何よりも作品中の「縮み行く男」!これがまたいいアクセントになっている(笑)。
BORDER LINE
「10年後に、また逢おうな。」
岡山で起きた高校生による金属バット殺人事件をモチーフにして、異なる5人の男女のストーリーが絶妙に交錯して収束していく優れたロードムービーだ。中心となるのは父親を殺して逃走する高校生、周史。その彼をはねてしまったことで周史を北海道まで乗せていかなければならなくなったアル中のタクシー運転手黒崎。自分の弟分の裏切りがきっかけで自らも組を裏切り、命を狙われることになるヤクザの宮路。実は宮路の生き別れた娘であるはるか。息子のいじめや夫のリストラで精神のバランス崩していく美佐。それぞれの登場人物がそれぞれの事情を抱え、もがいている。その人物描写と交差のさせ方が非常に上手い。李相日監督はまだ20代ということで、これからが楽しみな若手監督だ。
また、ともすると重くなってしまう内容を、逃走する過程において黒崎、宮路、はるかとの触れ合い(凧を介しての周史と宮路、周史とはるかのエピソードが特にいい)の中で徐々にではあるが自分を取り戻し、再生していく周史の姿と、函館の海辺のラストシーンに一筋の希望の光が感じられるのがポイントが高い。
また、宮路を演じる光石研のいぶし銀のような渋い存在感。そして今までのイメージを覆すかのような不安定感を醸し出す麻生祐未。片時もビールを手放せない情けないダメダメ男を演じる村上淳。若手の沢木哲と前田綾花を囲む芸達者たちの優れた演技もこの作品を成功させた一因だろう。
マトリックス リローデッド
え〜っと、前作から約4年、3部作の第2章ってことで、物語の結末は第3作を観ないと明かされないだろうな〜って思ってたら案の定。ま、この辺の中途半端さは作品の性質上しょうがないか(笑)。
で、今回も前作以上に難解なストーリー。おそらくあたしは半分も理解できてないと思うので(つうか、ぢつは前作も話理解してるかどうか自信がなかったりして)、その辺は割愛して(汗)、とにかく映像は相変わらずスゴイ。こういうVFXを観ちゃうと、監督のウォシャウスキー兄弟があの絶品のB級クライム・サスペンスの「バウンド」 を撮った人たちと同じ人だとは思えない。あたし的にはこういう作品よりも、「バウンド」 みたいな作品を撮ってもらいたいな〜と思ってます。
で、だ。今回のあたしにとっての見所は、無数のヒューゴ"エージェント・スミス"ウィービングだったりする(ったく、ストーリーとあんま関係ないじゃん)。ま、あの辺のアクション・シーンは取り立ててどうということもないのだけれど、それでもあれだけの数のエージェント・スミスがボワ〜ってネオと戦うシーンには、ファンとしては笑いが止まらない(笑)。てなわけで、アクションという点ではラスト近くのカーチェイスも面白かったけど、やっぱエージェント・スミスでしょ。と、最終作での彼の活躍はいかに!?って、この作品の主役はネオじゃなかったのか?(汗)
マニトの靴
「このストーリーを考えたのはドコのドイツだ!?」
ドイツ映画史上最高のヒット作という宣伝文句に釣られて観たんだけど、どうもドイツ人と日本人の笑いに対するセンスってかなり違うのかも?という気分にさせられた。ウエスタン映画をベースに冒険活劇、おバカなネタなんかがブレンドされるものの、このおバカなネタがどうも下ネタばかりで、しかもその下ネタも例えば「オースティン・パワーズ」 シリーズのような突き抜けたバカさ加減がないために、下ネタ大好きなあたしでも、どうもくどいというか、入り込めないような、そんな気分。オカマちゃんのキャラなんかはそれなりにいい味出しているけど、それでもそのオカマネタ、ゲイネタが今イチ笑えない。
どうもこの監督、全体を通じて、ゲイへの差別に対する問題提起みたいなものをこの作品を通じてやりたいような、そんな気もするが、作品の性質上、思い切り笑いに包んでやってくれなきゃ伝わるものも伝わらない。「メルシィ!人生」 が素晴らしい作品に仕上がったのは、皮肉、毒気を小気味よく笑いに包んで描いていたから。比較するのはナンセンスだと分かっていながらも、やはり中途半端な印象が拭えない。
ま、「インディ・ジョーンズ」 のパロディとか、笑えるシーンも幾つかあったのも事実だから、観て損したとかそういうことではないけれど、やはりおバカ映画は思い切り弾けてくれなきゃね。あ、でもね〜、サントラにドイツのHM
バンドRAGE の曲を使っているというのがドイツ的でヨカッタかも(笑)。
そういや、この作品の上映前に毎日、若手芸人によるライヴがあったんだけど、あたしが観た日は"汗かきジジィ"とかいう芸人。こちらもただ下ネタ連発すればいいってもんじゃないんだよって感じでなんだかな〜。