まとめてポン!2003年8月編
ウェルカム・トゥ・コリンウッド
シカゴ
スウェプト・アウェイ
チャンピオン
パンチドランク・ラブ
マイ・ビッグファット・ウェディング
ウェルカム・トゥ・コリンウッド
「がっぽり儲けて大脱走!」
スティーヴン・ソダーバーグ&ジョージ・クルーニー製作によるクライム・コメディとの触れ込みで、"コリンウッド"という架空の街で繰り広げられる犯罪計画のドタバタ劇だ(クルーニーもチョイ役で出演している)。
オープニングで真っ黒焦げになって道端に佇む4人の男。そこから時間軸が巻き戻されてその顛末が語られる。刑務所で聞いた美味しい犯罪計画(ベリーニ)実行のために集まったなんともトホホな連中。どういつもこいつも一癖も二癖もあるというよりも(それぞれの事情を抱えているけれど)、誰ひとりとして"一流"の腕を持つとは思えない。例えば最近では「ミニミニ大作戦」 やソダーバーグ&クルーニーということであれば「オーシャンズ11」 のように、メンバーが皆何らかのスペシャリストという設定とは対極にあるようなそんな感じ。そんな連中が犯罪計画を成功させようとするのだからこれが簡単に上手く行くはずもない。それはオープニングを観れば明らか。だから、これは作戦が成功するかというドキドキ感というよりも、なんであんなことになっちまったのかな?という過程を楽しむってことなのかな。
とはいえ、個々のキャラクターがどうも小粒(ピリリと辛ければよかったんだけど)で、展開自体もやや薄味なために、笑える部分もあるものの(ようやく壁をぶち抜いたらそこは・・・ってとこが一番のツボ)、悪くはないけど今一歩の感が拭えず、やはり脇役級(これは悪い意味ではない)のメンツを集めて主役に据えても些か勝手が違うということなのだろうか。でも、1,000ドルの罰金が払えずに妻が服役中で、幼子を抱えて右往左往するライリーを演じるウィリアム・H・メイシーはいい味出している。ラストのあの1,000ドルの使い方もこれは上手いよね。
シカゴ
「この街では、銃弾一発で有名になれる。」
言わずと知れた2003年アカデミー作品賞受賞作。生憎あたしはボブ・フォッシーの舞台「シカゴ」 も未見だし、巷で比較の対象とされている「ムーラン・ルージュ」 も未見なのでこれらと比較することは出来ないし、"ミュージカル映画"ということで「8人の女たち」 と比較するなんていう常軌を逸したことをするつもりもないので(だって、この両者は明らかに性質が違うから)、あくまでもこの作品単体だけを観ての感想ということで。
"殺人"というスキャンダルまでも自らの名声を得る道具としてしまう欲望、そして、そのスキャンダルに飛びついて散々持ち上げながらも、他の美味しいネタが出てくれば掌を返したようにあっという間に新しいネタに群がるマスコミ、それに対して名声を自らの手に取り返そうとまた新しい新鮮なネタを作り出すエゴ、それらに対する皮肉が散りばめられ、そこにレニー・ゼルウィガー演じるロキシーの想像(妄想か?)の産物として劇中に挟み込まれるミュージカル・シーン、この一連の流れが絶妙で、あっという間に物語の中に引き込まれる。これぞエンターテインメント!こういう作品は四の五の言わずに物語の流れに身を任せ、この構成の妙と歌と踊りを素直に楽しめばそれでいいと思う。
ま、キャサリン・ゼタ・ジョーンズの貫禄十分の存在感と比較してレニー・ゼルウィガーはどうよ?っていうのも分かる気はするけどそれはそれ。あくまでも作品トータルで観ればそんなことはあんま気にならなかったな。あれだけ豪華なキャストが楽しそうに歌って踊るのを観るだけで、こっちまで楽しくなったもん(ラストのキャサリン・ゼタ・ジョーンズ&レニー・ゼルウィガーのあのパフォーマンスなんてサイコーでしょ(笑))。結局ミュージカル映画とはいっても、あたし自身、あまりミュージカル自体に思い入れがなく、ドラマとして楽しめるかどうかという視点でこの作品を観たからなんだろう。そういう意味で、エンターテインメント作品のお手本のような楽しい作品でしたな。
スウェプト・アウェイ
「永遠の愛のしもべ」
オリジナルは未見なんだけど、地中海クルーズで傲慢なマダム・アンバーとその彼女にこき使われる世話係ジュゼッペが、無人島に漂着した結果、今までの主従関係が見事に逆転、大自然の中では経済的な豊かさなんて何の役にも立たない、必要なのは大自然の中で生き抜くタフさ、ってとこまでは分かる。でも、いくらその極限状態の中とはいえ、あんな風に愛が芽生えるのか〜?って思わずツッコミ入れたりして(笑)。要はそこに至るまでの過程が観客が納得できるように描かれてるとは言い難いのかな〜って思うんだ。なもんで、無事に陸に戻ることが出来ても、彼らの"愛"がホントに続くのかい?って思って、納得、感情移入が出来てればあのラストにも一抹の切なさを覚えるんだろうけど、そうはならないってとこに無理があったかなと。
とはいえ、この作品、アンバーを演じるマドンナの魅力が全面に押し出されていて、80年代のあのイメージなんかよりも、今のあの肉体美、こっちの方が間違いなく魅力的。正直80年代の彼女には何の魅力も感じなかったあたしでも、これはかなりクラッとくる(笑)。そういう意味では、ガイ・リッチー監督が完全に自分の趣味で撮った作品だとも言えるのかな?(笑)これぞ夫婦の"愛のコラボレーション"ってか(笑)。でも、次回作は是非ガイ・リッチー監督"らしい"作品を撮っておくんなまし。
チャンピオン
「愛は死なない」
去年のあたしの"てめぇコラ、金返せ〜!"映画のひとつ(笑)、「友へ チング」 のクァク・キョンテク監督とユ・オソンのコンビによる、実在のボクサー、キム・ドゥックの半生を描いたこの作品、なにせ"てめぇコラ、金返せ〜!"映画のコンビだけに(って、しつこい(爆))、どうなることやらと一抹の不安はあったんだけど、いやいやどうして。こちらはなかなかよろしいんじゃないですか。とにかくユ・オソンの役作りのために鍛え抜かれた肉体、そして愛する女性のためにひたすら"チャンピオン"を目指すストイックなキャクター(だけど、彼女の前では結構"素"を出していたりして)、これが好感度高い。それと、あたしは基本的に格闘技には興味がないんだけど、「リングにかけろ」 の影響か、はたまた「ガチンコ!ファイトクラブ」 の影響か(笑)、ボクシングはテレビでやってると結構見るので、ボクシングシーンの迫力、これもまたかなりのもの。そういうわけで、なんだかんだと楽しむ自分がいて、それだけに、彼が世界チャンピオンにいわば勝ち目のない闘いを挑み、そして散っていく姿には胸が痛む。
とまあ、いいこと尽くしかと思いきや、一応ラストには胸が痛むものの、どうしてもユ・オソンのあの髪型、表情が"ふかわりょう+江頭2:50÷2"に見えちゃって、彼に対する感情移入以前にどうにもこうにも笑いが先に立っちゃったのが非常に痛い。って、こんなとこで落としてどうする(爆)。あ、だから、決して悪い作品じゃないから、石は投げないでください(汗爆)。
パンチドランク・ラブ
「やがて衝撃は、陶酔にかわる」
まず最初にお断りしておくと、あたしは「奇跡の海」 を観て以来のエミリー・ワトソンのファンだ。決して美人だとは思わないけど、様々な作品から感じられる彼女のエキセントリックさ、危うさ、気高さなど、非常に上手く、そして魅力的な女優だと思う。ま、「アメリ」 (つうか、「エミリー」 ね)の主演の話が飛んだのにはホッとしたけど(爆)。だって、どうみても柄じゃないでしょ(笑)。それ故、彼女が出演する作品は時間の許す限り劇場へ観に行くようにしている。だから、この作品についてもポール・トーマス・アンダーソンの作品だからとか、そういうことではなく、あくまでもエミリー・ワトソン目当てに観に行ったというのが正直なところ。
それが、だ。この作品における彼女からは、まったく魅力が感じられない。別に今までの役柄とは違うごくごく"普通"の女性だからとかそういうことではなく、いつもスクリーンを通して感じられる彼女ならではの"オーラ"がどこからも感じられないのだ。何故だ?あたしの女性に対する好みが変わったのか?(って、大袈裟な)非常に悲しく、そして困惑している。ぶっちゃけ単なるオバハン(きゃ〜、このセクハラまがいの発言は、刺されちゃうかも(爆))。間違ってもあたしはこういう女性に"パンチドランク"な"ラブ"は感じないね。
とまあ、お目当ての彼女がダメであれば、ストーリー自体を面白いと思えるはずもない。完全に取り残され、バリーとリナの恋の顛末も、なんかダラダラヌルヌルで「なんだかな〜。」って感じで途中で眠気すら催し、最後まで観ているのが正直辛かった。全然パンチ効いてないって。それに、バリーのキャラ自体も妙なキレ方が鼻につき、感情移入できず(唯一よかったのは、初めて愛する女性のためにキレた、ああいう局面での強さかな)。あと、フィリップ・シーモア・ホフマンのあまりにも中途半端な小悪党ぶり。これも「ダメだこりゃ。」状態。やるんなら、もっと徹底的にキレてやんなきゃ。あ〜あ〜、こんなこと書きたくなかったんだけどね。
マイ・ビッグファット・ウェディング
「一生結婚したくない、という人は、観ると危険です。」
インディペンデント映画なのに全米で驚異のロングランヒットを記録したというこの作品、実話を基にした女性の一大サクセス・ストーリーという趣で、観ているこちらも元気をもらえる非常に楽しい作品だ。
ま、結婚に関しては、あたし自身は周囲がどうとか言うよりも、あくまでも当事者ふたりだけの問題だと考えているし(親を安心させるために結婚しなきゃならないなんて冗談じゃない!親のために人生生きてるんじゃないんだから。それに、"家"というものに縛られるなんて、あたしに言わせれば不幸以外の何モノでもない)、一生結婚しない生き方もありだと思っているから30過ぎて結婚しないでいることをとやかく言われるのは大きなお世話だし(爆)、結婚するのが当たり前、そして結婚したら子供を作らなきゃならない、なんて考え方にはまったくもって賛同できかねるので、必ずしもこの作品中に描かれる内容に共感できるわけではない。
だけど、あたし個人の価値観は置いといて、あくまでも映画として観た場合、ああいう訳分かんないくらい人が入り乱れてのワイワイガヤガヤとした、しかもアットホームな結婚式というのはそれはそれで面白い。「ベッカムに恋して」 におけるインド式結婚式と同様に、ああいう式なら一度くらい結婚してみてもいいかな〜って思ったりして(笑)。
それと、人種の坩堝、多種多様な宗教観が入り混じるアメリカならではの結婚に立ち塞がる"障害"、そしてそれを乗り越えて彼らにとっての幸せを掴むというのも、間違いなくアメリカではウケる要因のひとつだろうね。アメリカほどこの宗教観というものがさほどハッキリしていないここ日本では、あまり現実感をもって受け入れられるか微妙だけど。つうか、ただ単にあたしが無宗教だからってだけかも(汗)。それでも、このテンポとノリのよさ、ユニークな登場人物たちのドタバタ具合は文句なしに楽しい。トゥーラが何故一念発起して学校に通って自分を磨こうと決心したのかという心の移り変わりがしっかり描かれていないというのはあるけれど、そういったマイナス点は全体の構成からいくとあまり気にならなかったな。
それにしても、イアンっていい奴。トゥーラのために改宗までして、一生懸命トゥーラの家族に溶け込もうとして。彼のトゥーラを想う気持ちっつうのは本物なんだな。それも、きっと彼の両親がああいう大らかなキャラだから。最初は退き気味だったけど、徐々に馴染んでいって、結婚式の招待状のイアンのママの名前のミスプリを、結婚式でしっかり最後にはああいう形でネタにしちゃうイアンのパパ、サイコー!(笑)