あの頃ペニー・レインと
「君がいるから、すべてがキラキラまぶしい15歳。」
この作品の監督・脚本を務めるキャメロン・クロウの自伝的ストーリー。時代は1969年のサンディエゴ。11歳のウィリアム・ミラー少年は厳格な母親と姉と暮らしていた。姉は母親と衝突して家出、そんな彼女がウィリアムに残していってくれた沢山のロック・ミュージックのレコードが彼のこれからの人生に影響を与える。そして4年後の1973年。15歳になったウィリアムはロックの世界にのめり込み、伝説的なロック・ライターで「クリーム」誌編集長、レスター・バングスと出会い、「評論家で成功したけりゃ、正直に手厳しく書け」とのアドバイスと共に「クリーム」誌の仕事をもらう。
BLACK SABBSTHの取材でライヴ会場を訪れたウィリアムは、そこでグルーピーの集団のリーダー、ペニー・レインと出会い、また彼が愛するバンド、STILLWATERのギタリスト、ラッセルとも親しくなる。
そんなある日、ウィリアムが書いた新聞記事に目を止めた「ローリング・ストーン」誌のベンから、ウィリアムに原稿依頼の電話が。そして、ブレイク寸前のSTILLWATERのツアーの同行取材という話がまとまり、物語はSTILLWATERのツアーと、ウィリアムのペニー・レインに対する恋心、ラッセルとの友情などを軸に進んでいき、少し大人になるウィリアムの姿が描かれる。
映画を観る前は、15歳で「ローリング・ストーン」誌のライターとして成功するなんて、一体どんなガキなんだ!?なんて思ったりもしたんだけど、これは彼のサクセス・ストーリーというよりも、ロックを聴き出した頃の純粋にロックを好きだった気持ちを思い出させてくれる、なんとも心温まる甘酸っぱい青春映画だ。キャメロン・クロウの実体験に基づいているだけあって物語にリアリティーがあるし、、映画にさほど興味がなくとも、ロックが好きな人であれば、きっと共感できるところが沢山あるんじゃないかな。
あたしが一番気に入ったセリフは、グルーピーのサファイアがペニー・レインと別れたラッセルに言う、「音楽(バンド)を愛するっていうのは、一緒に傷ついてボロボロになることなのよ!」というくだり。そうなんだよ、音楽が生活(人生)の一部になっている人間にとってはまさにそのとおりで、映画館でうんうんと頷いていました。また、ラストでペニー・レインが自分の住所として教えたウィリアムの家にラッセルが訪れて、ウィリアムとラッセルが和解するシーンも微笑ましかった。
俳優陣も、なんとも初々しいウィリアム少年を演じるパトリック・フュジット、キュートな魅力を振りまくペニー・レイン役のケイト・ハドソン、厳格ながらも息子への愛情たっぷりな母親のフランシス・マクドーマンドなど、どれも見事な演技を観せてくれている。
そして、バックに流れる70年代の名曲の数々。今の使い捨ての音楽シーンと違い、あの頃の曲っていくら時代が変わろうとも色褪せることなく輝いている。そこがスゴイよ。あの時代を実体験したかったな〜。