インソムニア
「6日間眠れないほどのあまりにも異常な事件。」
24時間太陽が沈まない街、アラスカのナイトミュートで17歳の少女が殺された。その死体は髪を洗われ、爪を切られ、全裸のままゴミ袋に入れられていた。しかしそれは始まりに過ぎなかった。やがて起こる第二の殺人。事件の異常な展開と沈まない太陽は、L.A.から捜査に招かれたひとりの刑事の眠りと理性を奪っていく・・・。
「メメント」 であたしたち観客の度肝を抜いたクリストファー・ノーラン監督の最新作は、ノルウェー映画のリメイク作品。「メメント」 と同じものを期待すると肩透かしとか何とか言われていたけど、「メメント」 がオリジナルであるのに対し、こちらはあくまでもリメイク。だから、同じものを期待する方がどうかしてると思うんだけどな〜。てなわけで、あくまでも3人の主役級俳優の演技を楽しみにしていたわけで。
いや〜、これはアル・パチーノのための映画といっていいくらい彼の演技が素晴らしい!ちょっとしたミスから同僚を死なせてしまい(ただし、これには潜在的な動機があるらしいということが後で明らかにされる)、それを隠そうとしてどんどんドツボにハマっていき、アラスカの白夜のせいで不眠症(インソムニア)に陥って理性やら何やらを失っていく過程をオーバーアクションなどなく、それでもこれでもか!とばかりに演じる彼の演技は掛け値なしに素晴らしい。彼って、普段からなんか眠そうな顔してるじゃない?だから、こういう役って似合ってる(笑)。それと、ラストの「道を見失うな。」というセリフがまたいいんだな〜。
ちなみに、これは猟奇殺人とかサイコ・キラーとかの映画ではなく、あくまでも心理スリラー。"追い詰める"立場であるはずのひとりの刑事が徐々に"追い詰められていく"様を描いているものであって、そういう観点から観ると、アル・パチーノの演技に救われている部分があるとはいえ、最後まで飽きずに観られるし、なかなか面白い作品だ(最初の事件はあくまでも発端に過ぎないのに、あれを前面に出して宣伝する宣伝の仕方ってどうかと思うんだけど)。これのオリジナルも是非観てみたい。一方、犯人役のロビン・ウィリアムズも、決してサイコではない普通の作家が思わず殺人を犯してしまうわけだけど、あの能面のような顔、やっぱり普通の人が一番怖いよね〜って思ったりして、好き嫌いは別にして(笑)、決して悪くはない。だけど、ヒラリー・スワンクは、どうにもこうにも中途半端。別に彼女じゃなくてもいいんじゃないの?って思ったりして。
それと、クリストファー・ノーラン監督の今後ということになると、今回はリメイクだったということで、オリジナルに独自の解釈を加えているらしいけれど、次作が彼にとっての真価が問われるホントの勝負作になるだろうね。ちなみに、この映画を観た後に鬼束ちひろの「インソムニア」 を聴いても、決して不眠症にはなりませんのでご心配なく(笑)。