鬼が来た!

 「すべてはふたつの麻袋から始まった。」
 1945年旧正月直前の日本軍占領下の中国の寒村。ある夜、"私"と名乗る人物が麻袋に入った日本兵と通訳の中国人を置き去りにする。最初はわだかまりがあったふたりと村人だったが、ユーモラスな交流を通して腹を割って話せる仲になる。しかし、あることをきっかけとして事態は急変する・・・。
 2000年のカンヌ映画祭グランプリ獲得作品。モノクロームの画面を通じて戦争、そしてそれに翻弄される人間の心の闇、醜さ、愚かさ、狂気を描き出している。モチロン、この作品は中国からの視点で描かれているわけだが、声高に「戦争反対!」とか「侵略戦争を引き起こした日本が悪い!」とかストレートに叫ぶのではない分、かえってその醜さ、愚かさ、狂気が鮮明に浮かび上がってくるような、そんな気がする。
 とはいえ、全体を通じてユーモラスな雰囲気が感じられるため、暗澹たる気持ちだけで終わるわけではなく、ユーモアに包んだ中に痛みを感じる作品とでも言えばいいのだろうか。
 それにしても、戦争という極限状態の中、突如として発現する"狂気"。これが凄まじい。特に前半部分に笑いを含めた(表現が適当かどうか分からないが)ホノボノ感みたいなものを感じられるだけに、それと対照的なこの後半部。いや〜、圧倒されてしまった。最初に登場する"私"の正体は誰だったんだろう?と中盤までは思っていたんだけど、気が付いたらそんなことはどうでもよくなっていた。しかも、この"狂気"が発現するのが"1945年8月15日"だというのがなんとも皮肉だ。 

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