裏切り者
「午前1時 サニーサイド操車場 あのとき、何が起こったのか・・・」
ニューヨーク、クイーンズ。仲間を庇い服役したレオが、刑期を終えて戻ってきた。彼は叔父フランクが経営する地下鉄整備会社で新しい職に就き、人生をやり直そうと決意する。しかし、フランクには裏の顔があった。知らず知らずに汚職、殺人といった事件に巻き込まれるレオ、彼はこの事態を突破できるのか・・・。
ジェームズ・グレイ監督の青年期に実際に起こった汚職事件をベースにした、硬派な社会派サスペンスだ。実話を基にしているだけに、これといった派手な展開があるわけではなく、ある意味地味に、淡々と物語は進んでいく。人によってはこの"地味"な展開がかったるく思えるかもしれないけれど、この愚直なまでに一直線な展開というのは最近ないだけに、社会派サスペンスが好きなあたしは結構楽しめた。サスペンスだけではなく、フランクはレオを裏切り、レオの親友であったはずのウィリーまでレオを裏切り、ウィリーの恋人のエリカは最後はウィリーを裏切る形になってしまい、と、結局人間みんな自分を守るためだったら何でもやっちゃうのよ、という人間の哀しさも描かれていて、観ていてツライ気持ちになっちゃったな〜。レオが最後に取る行動も、結局は裏切りになっちゃうんだろうか?
でも、いわばファミリーみたいな関係の彼らが裏切るってことは、やっぱりそれまでにそれなりの葛藤というのがあると思うんだよね。この作品では、それぞれのキャラがそこに至るまでの経緯というか、葛藤といった内面にまで踏み込んだ描き方がされていなかったのがなんとも残念。マーク・ウォルバーグ、ホアキン・フェニックス、シャーリーズ・セロン、ジェームズ・カーン、フェイ・ダナウェイにエレン・バースティンと、せっかくの"豪華キャスト"なんだから、この登場人物の"内面"を巧みに描いてくれればもっと余韻の残る作品になっていたと思えるだけに、惜しいな〜。
とはいえ、ホアキン・フェニックスの演技は秀逸。「グラディエーター」 のときも思ったけど、あの陰のある、重いものを背負ってしまったような、なんとも哀しげな演技をさせると絶品だね。彼の演技を観るだけでも価値があるんじゃないかな。