URAMI

 「人間、続けますか。」
 「BRUISER(乱暴物)」 という名の男性雑誌の編集者であり、大人しくて真面目で目立たない主人公ヘンリー。彼は傲慢な上司に踏みにじられ、狡滑な友人に財産を騙し盗られ、挙句の果てに浪費家の妻には利用されて捨てられる。そして、ある朝目覚めると顔には白い仮面が貼り付き、彼は"顔のない男"になっていた。もう失うものなど何もないと、彼は今まで自分を蔑ろにしてきた連中に怨みを晴らすべく復讐を始めるが・・・。
 ジョージ・A・ロメロ監督の最新作で原題が「BRUISER」 (そりゃ原題が「URAMI」 の訳ないやね。なんか「TATARI」 みたい)。この監督の作品は今回初めて観たんだけど、他の作品でもその時代の世相を反映させているらしく、今回もホラーに名を借りて現代の物質社会へのアンチテーゼみたいなものを描いているらしい。らしい、というのはチラシにそう書いてあったから。確かに主人公のヘンリーはカッチョイイ家を手に入れ妻も美人、仕事もクリエイティブな雑誌編集者と、ある意味成功した人種に見えるけど、実は"周りには蔑ろにされている=物を取ったら何にも残んないアイデンティティのカケラもないカラッポな人間"で、じゃあいっそのこと白い仮面を被せて外見からもアイデンティティを無くしちゃいましょうという表現の仕方にその辺の意図が感じられなくもない。で、そんなアイデンティティを完全に喪失したヘンリーがモラルのない連中に復讐するっていうのもなんとも皮肉な気もするし。
 でも、あたしは映画を観ている間はそういったことは正直感じなかった。難しく考えずにどちらかというと単純な"ホラー復讐モノ"みたいな、そんな感じ。そういった単純な観方をしても、モチロン楽しめる作品であることは間違いない。ストーリー展開は先が読める部分もあるけれど、「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」「スナッチ」 で存在感ある脇役を演じていた(「ロック・スター」 はちょっぴりトホホだったけど)ジェイソン・フレミングの苦悩に満ち溢れた前半と開き直って復讐に臨む後半の対比とか、今までの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」「ファーゴ」 などのキャラと趣を異にするピーター・ストーメアのなんとも嫌らしい上司など(この人も作品選んでないような気がする)、登場キャラがまた"らしい"感じでこの手の作品にハマっている。復讐を果たすことによって最終的にヘンリーが自己のアイデンティティを取り戻すラスト(あのロン毛がいいね〜)もまたニヤリとさせられる。もっとも、決して万人向けの作品じゃないけどね。
 それにしても、パーティーのシーンでMISFITS が出演して演奏までしているのにはビックリ。あれって監督の趣味なのかな?それともあ〜ゆ〜メイクだから(^^)?

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