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ブレッド&ローズ

 「人は誰でも 誰かと つながっていたい。」
 ある夜、マヤは故郷メキシコの国境を越え、ロスに住む姉ローサの家に身を寄せる。オフィス街のビルでローサと同じ清掃の仕事を始めた彼女は、ある日、若いアメリカ人の労働組合活動家サムと運命的な出会いを果たす。熱心なサムは雇用者に対するゲリラ活動にマヤとローサを誘い、マヤはサムへの憧れと雇用者の不当な扱いに対する憤りから彼と行動を共にし、組合活動に傾倒していく。闘争の輪は次第に大きく広がって行くが、それは背中合わせの危険も大きくなっている事を意味していた・・・。
 "イギリス映画界の至宝"と言われるケン・ローチ監督の社会派ドラマ。あたしはケン・ローチ作品はこの作品が初めてだったんだけど、労働組合活動、労使闘争というテーマながら、決して大上段に構えることなく、ストレートに、分かりやすく、問題を描き出している。あくまでも労働者の視線で。しかも、単なる綺麗ごとに終わらせずに、こういう弱い立場にある労働者の厳しい現実もしっかりと描いているのがポイント高いよ。
 ここに登場する労働者たちは、マヤのような不法入国者や、中南米からの移民たち。皆それぞれにそれぞれの事情を抱えているだけに、悪条件の勤務条件であっても文句を言えずに働かざるを得ない(文句のひとつでも言ったら即クビ!だから)。そんな彼らが活動に目覚めて闘おうとしても、雇用者側だって黙っていない。しっかりと彼らの切り崩しにかかり、弱みを突いたり、裏取引をしようとする。だけど、そんな風にして仮に仲間を裏切ってしまったとしても、誰にもそのことを責めることはできないと思う。だって、彼らはみんな、"パン"を得るためにすら汲々としているんだから。そんなときに目の前に美味しいものをちらつかせられたら、そりゃ心が揺れるでしょ。決して"薔薇"だけでは生きていけないんだという気持ちになったって不思議じゃないよね。でも、あまりにも"パン"を得るために汲々となりすぎて、"薔薇"という人間としての尊厳まで失ってしまったら・・・。できれば、"パン"と"薔薇"、両方をバランスよく得ることができるのが一番なんだろうけど。でも、あたしなんかは定職に就いていて、それなりの収入と社会保障があるからそんなことが言えるのかな?、これって理想論、綺麗ごとなのかな?って、ちょっと考えさせられてしまった。
 そして、終盤のマヤの姉、ローサの独白シーンには、胸を突かれ、涙が止まらず、痛くてスクリーンを観ているのが辛かった。それでも、自らの権利のために闘う彼らが権利を掴み取るラストには勇気と元気をもらったような、そんな気がする。また、マヤが同僚の大学の学費を捻出するためにとった行動の落とし前をどのようにつけるのか、それも興味があったんだけど、しっかり自己の行為の報いを受けるという落とし方でホッとした。だって、あれが不問に付されていたら、権利のためには法を犯したっていいってことになるでしょ?それじゃあ明らかに矛盾してることになるもんね。
 それから、オープニングとラストで車に乗せられたマヤをローサが追いかけるシーンがあるけど、両者の意味するところは全然違う。前者は絶望、後者は希望。後者でマヤの見せる、すべてを成し遂げたかのような充足感あふれる表情が印象的だ。こうやって同じようなシーンを対比させて観せる観せ方というのも、上手いと思う。
 ちなみに、今回はカメオ出演でティム・ロスとベニチオ・デル・トロほかが本人役で出演しているというのもファンにとっては注目だったんだけど、ティムはすぐに分かったものの、デルトロ兄ィを見逃しちまって・・・(泣)。あの人、映画に出るたびにイメージ変わるから、分かんないんだよね〜。一体彼はどこに出てたの?

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