バスを待ちながら
「ちょっと止まって夢を見た」
キューバのとある田舎町の海に近いバス待合所。ここではいつ来るかも分からないバスを何日も待つ人で溢れかえっていた。たまにやって来るバスもいつも満席で、たった一つの希望であった壊れたバスの修理にも失敗。バス停は閉鎖かと思われたとき、若い技師エミリオの提案で、みんなでここに留まって、バスを修理しようということになる。最初はまとまりのなかった彼らも、次第に助け合い、奇妙な連帯感が生まれ、そして心が繋がっていくが・・・。
いや〜、こういう作品大好き!笑って泣いて、そして心が温かくなる感動作とでも言えばいいのかな。公共交通機関は時間に正確なこの日本ではこういったことはまず考えられないことだけど、最初はお互いに名前も知らず、勝手なことばかり言っているバスを待つ乗客が、ひょんなことから心を通わせていく過程がホントに絶妙なタッチで描き出されているからそれにドンドン引き込まれちゃって。そうなんだよ、この"人と人との心のつながり"、これが上手く描かれているのが何よりも感動的。こういうことって、最近の世知辛い世の中ではすっかり忘れ去られてしまっているみたいじゃん。だからこそこんな作品に出会えると心がホッとするんだよね。バス待合所で生活するようになった彼らが、今までだったら我先にバスの空席の奪い合いをしていただろうに、ここに留まりたいがために今度はバスの座席を譲り合おうとするところなんか、可笑しくも涙が出てきちゃった。
それと、登場人物がみんなそれぞれがそれぞれの事情を抱えていて、その個々の描き分けもしっかりとされているから、観ていて飽きない。モチロン、感動的なだけじゃなくて、所々で笑わせてくれるし。一番好きなのは、途中で待合所を去った家族が夜道でヘッドライトを照らして向こうから来る車を身体を張って止めようとしたら、実はそれが2台のオートバイで、そのまま脇をすり抜けられちゃうシーン(爆)。それと、この作品の原作を登場人物たちがさりげな〜く読んでいるシーンや、この作品の製作チームによる前作「苺とチョコレート」 が会話の中でネタになっているのにもクスリとしたりして。
このバス待合所が完全にひとつの"共同体"になり、エミリオとジャクリーンに子供までできて、と「オイオイ、やり過ぎちゃうん?」などと突っ込みを入れつつも、寓話のひとつと考えればこれもありだよねと思っていたところでラストのオチ。いや〜、やられました、マジで。これこそまさに"ちょっと止まって夢を見た"って、実はチラシでネタバレしてたのね(笑)。このオチについては人によって賛否が分かれるかもしれないけれど、こういう夢ならいくらでも見たい。そして、このオチのあとのひとりを除いた(笑)みんなの幸せそうな表情がとても印象に残った。こうやって何かを共有すること、それによって気持ちが繋がることってやっぱり素晴らしいことだと思うもん。それとラストのあのセリフね(笑)。