ハンニバル
「沈黙は、悲鳴で破られる。」
あの、「羊たちの沈黙」の続編。"バッファロー・ビル事件"から10年後、FBIのベテラン捜査官となったクラリス・スターリングは、とある事件をきっかけに窮地に追い込まれる。一方、ハンニバル・レクター博士はイタリアのフィレンツェに潜伏、優雅な生活を送っていた。そして、過去にレクターに顔の肉を剥ぎ取られた大富豪メイスン・ヴァージャーは、虎視眈々とレクターへの復讐のチャンスを窺っていた。これらの登場人物が絡み合い、物語は終息へと向かっていく・・・。
観終ってまず最初に思ったこと。これは「羊たちの沈黙」とはまったく別の作品だな〜、っていうのが正直なところ。仮に続編として考えるならば、「羊たちの沈黙」にあったミステリー的な要素が減退して、ジワジワとくる怖さがなくなってしまったのが残念。「羊たち〜」と切り離して観た場合でも、上下2巻にわたる原作の世界観をたった2時間に収めるのは難しいやね。かなりエピソードが端折って描かれていたし、ジャック・クロフォードすら登場しないんだもん。原作はある意味レクターとクラリスの恋愛小説として読んだんだけど、そこのところが描き足りないとも思った。
エンディングが原作と全然違うことについては、あれはあれで悪くはないけど、やっぱり原作どおりに描いてくれた方がよかったかな、と。あの終わり方って、いかにも続編がありそうな感じがするんだよね。それに、飛行機内でのシーンは、もっとコミカルに描いてくれればよかったのに。
一方、美しいフィレンツェの映像と対照的な、貪る豚や脳みそのソテーに代表される残虐シーンのような、個人的には大したことないと思うけど、10年前には恐らく不可能であった視覚的要素、そしてほとんど目を動かすだけで感情を表現するヴァージャー役のゲイリー・オールドマンの見事さ(ノー・クレジットって話を聞いてたんだけど、エンド・クレジットにはしっかり名前があったな〜)や、ベテラン捜査官の逞しさ、レクターに対する愛憎入り混じった感情をしっかり表現し、ジョディ・フォスターにはないクラリス像を演じていたジュリアン・ムーア、そして「羊たち〜」以上になんとも優雅で残酷なレクター博士のキャラクターなど見所が沢山あったのも事実だとは思う。それにしても、頭蓋骨をパカッて開けられるレイ・リオッタ、なんかいつのまにか老けたな〜(^^;)。
結局は決して悪い作品ではないけど、絶賛するほどのものではないといったところか。まあ、期待しすぎたというのがあったんだろうけど。同じリドリー・スコット監督作品だったら、「グラディエーター」に軍配を上げるね。