ハッシュ!
「21世紀的、子作り宣言。」
ペットショップで働く直也は、気ままなゲイライフを送りながらも人生に何か物足りなさを感じていた。土木研究所で働く勝裕は、ゲイであることを隠している。同僚のエミに好意を寄せられるが、それさえ拒めない優柔不断な自分を情けなく思っている。歯科技工士の朝子は、人との関わりをアキラメたような生活を送っていた。好きでもない男とセックスして、空っぽの気持ちを誤魔化すのだった。付き合いはじめた直也と勝裕。しかし偶然出会った朝子の出現で、彼らの平穏にいくかに見えた関係が揺れ動きはじめる。朝子は勝裕がゲイだと知ったうえで、ある相談を持ちかけた。「結婚とか、付き合うとかではなく、子供がほしいの」と。その朝子の決意は、直也と勝裕、そして個々の家族の心に大きな波紋を起こしていく・・・。
主人公はゲイふたりと女性がひとり。だからといって、「翼をください」 が断じて"レズビアン映画"ではないのと同じように、この作品も"ゲイ映画"ではない。この3人の関係を通じて、"家族"や"愛"や"男女の関係"、"希望"などがしっかりと描かれている作品だと思う。
偶然出会った朝子が勝裕に「父親になれる目をしている。」(なんじゃそりゃ!?)「子供が欲しいの。」と持ち掛けることから展開していくんだけど、様々な葛藤がありつつも、いつしか真剣に子作りについて考える下りは何とも可笑しいし(ショップで子供服に頬擦りするふたりには笑えた)、勝裕に抱きしめられる直也と勝裕のやり取り「痛いよ・・・。」「寂しいよりいいだろ。」なんかにもドキッとしたりして。一番印象的だったのが、彼らの家族を巻き込んでの一悶着があった後の勝裕と兄の勝治との会話。勝裕がゲイであることを隠していたのに、勝治はしっかりそれに気付いていて、「いつ分かったの・・・?」と訊く勝裕に対して「そりゃ兄弟じゃもん・・・。」って、自らの意思で選ぶことはできないけど、結局家族(血の繋がり)ってそういうものなんだな〜ってチョッと胸キュン(それだけに、勝治の死後、容子がさっさと土地家屋を処分して引っ越しちゃうって、所詮は夫婦なんて"他人"なのかな?なんて思いが強くなったりして)。
そして、今まで色々なことがあって諦念に絡めとられているかのような朝子が、勝裕と直也との関係を通じて生きる希望みたいなものを感じ取り、徐々に変わっていく様子がなんともいい感じ("子作り"というのはあくまでも彼らの関係を描くにあたってのファクターのひとつだと思うんですけど、いかがでしょ?)。片岡礼子って、以前から注目していた女優なんだけど、この繊細さと大胆さを兼ね備えたような存在感がやっぱいいよね〜。モチロン、田辺誠一(お風呂で青インクを吐いちゃう夢が可笑しい)、高橋和也(怒るとアイスクリーム食べるっつうのが可愛い)のカップルも、コミカルで、かなりのハマリ役。子供を作ることって、決して軽々しいものではないと思うし(とはいえ、朝子は朝子なりに真剣なんだと思うけど)、ともすると、生々しい印象を与えてしまいそうな内容なのに、爽快感を感じられる秀作だ。それでも、"スポイト"はないだろう〜〜〜〜〜(爆)。