光の旅人
ニューヨークの雑踏の中に突如現れたプロート。彼は自分が地球から遠く離れたK-PAX星からやって来た異星人だと主張し、病院の精神科へと送られ、そこで医師パウエルと出会う。病院において周囲に不思議な力を与えていくプロートにより、患者たちは「自分で自分を癒していく力」に目覚めていく。そしてパウエルまでもが彼に惹きつけられていく。果たして彼は本当に異星人なのか・・・。
"癒し"、"救い"、"愛"と、最近のホットなトピックをテーマにして、そこにケヴィン・スペイシー&ジェフ・ブリッジスの演技派ふたりのぶつかり合いが堪能できる作品とでも言えばいいのかな?
特にファンの贔屓目だと言われてしまえばそれまでだけど、プロートを演じるケヴィンの演技には目をみはるものがある。オープニングの登場シーンから"光"のオーラ(笑)を放ち、バナナを皮ごと食べるシーン(撮り直しがあったから、実際に何本も皮ごと食べたとかいう噂)、他の患者と接するシーン、パウエルとのやり取り、催眠療法を受けているときの表情、ラストのパウエルの問いかけに対する微笑と、まったくオーバーアクションなどないのに観る者に上手〜く伝わるものがあるというその演技には、ただただ感嘆するのみ。「シッピング・ニュース」 のときの自らの"弱さ"をさらけ出す味わい深い演技とはまた一味違う感じだけど、彼の俳優としての"凄み"を十二分に感じることが出来る好演だ。
一方、パウエルを演じるジェフ・ブリッジスもケヴィンに負けず劣らずの演技を観せてくれる。医師としての立場もありながら周囲を"癒す"プロートに徐々に惹きつけられ、プロートの背負っているものが何なのかを懸命に探し当てようとするその姿、エンド・クレジット後のあのシーン(やっぱり場内が明るくなるまで席を立っちゃイケナイよね)で彼の心情が理解できた。
と、主演ふたりの演技に関してはなんの問題もないし、プロートがホントにK-PAX星人なのかどうかということも、実はさほど重要なことではないような気がするけど、全体の流れとして、"癒し"をテーマとしているならば(そして"癒し"に至るまでの過程が重要だとするならば)、患者たちが癒されるシーンなど、もっと患者たちの内面にまで深く踏み込んで描いてくれれば、より味わい深い作品となったと思われるので、その点が非常に残念だ。とはいえ、前述したエンド・クレジット後のシーンがあることで、あたしの心もなんか癒されちゃって、後味がよかったのも確か。ところで、ベスは一体どこに行ったの?やっぱりK-PAX星かしら?(笑)