ペイ・フォワード〜可能の王国

 「きっかけはここにある。」
 社会科教師のシモネットの「もし君たちが世界を変えたいと思ったら、何をする?」との問いかけに、中学1年のトレバー少年が考えついたのは、シンプルながらもユニークなひとつのアイディア。シンプルなんだけどなかなか実行に移すのが難しいこのアイディアが、やがて大人たちも巻き込んで世界を変える可能性を持ち始める・・・。
 この作品のタイトルである、"Pay it Forward"をメインに考えた場合、その行為自体の広がり方が些か散漫というかはっきりせず、物語の展開の仕方になんともフラストレーションが溜まる気がしないでもない("Pay it Forward"というテーマがなければ、シモネットとアーリーンの恋愛ドラマになってたような気も)。また、トレバー少年が"聖人君子"的に祭り上げられてしまうラストもいかがなものかという気がする(あれは反則でしょ)。
 しかし、出演俳優陣の演技合戦に目をやると、特に主演の3人の演技の素晴らしさは文句なしだ。ハーレイ・ジョエル・オスメントはやはり"天才子役"なのは間違いない。「シックス・センス」1作だけだったら"フロック"の一言で片付けられるんだろうけど、ここでもこれだけの演技を見せつけられるんだから。ラストはいかがなものかと言いながら、彼が最後にTVから語りかける場面ではちょっとウルウルきてしまった。それから、ケヴィン・スペイシーも、虐待を受けた過去と障害を背負ってるからなかなか一歩先の恋愛に進めない男の哀しさを見事に演じていたと思うし、ヘレン・ハントについても、アルコールに逃げ込むシングル・マザーの痛みみたいなものをよく表現できていたと思う。
 あと、トレバー少年の父親(リッキー)役でジョン・ボン・ジョヴィが出演していたんだけど、リッキーって物語の中でキーパーソンになるほどの重要な役回りだと思うのに、出番があれだけってなんか中途半端な感じ(とはいえ、リッキーの登場ですごすごと引き下がるシモネット、やっぱり彼の中での父親の"虐待"という傷はそう簡単には消えないものなんだと、胸が痛くなった)。おそらくジョンを目当てに映画館に足を運んだ人も結構いるんだろうな〜。そういう人はチョットお気の毒。でも、やっぱジョンはスクリーンの中じゃなくて、ライヴ会場で観たいよね。

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