ピンポン

 「この星の1等賞になる!!」
 「この星の1等賞になりたいの卓球で、俺は。そんだけっ!」才能にあふれ、卓球が好きで好きでたまらないペコ。「卓球なんか死ぬまでの暇つぶし」子供の頃から無愛想で笑わないスマイルにとってペコはヒーローそのもの。だが、ペコは上海卓球ジュニアチームから来たエリート留学生チャイナに完敗。続くインターハイ予選では、劣等感から死にものぐるいで努力を重ねてきた、もう一人の幼なじみアクマにも敗れてしまう。いっぽうスマイルは、コーチに才能を見い出されメキメキと実力をつけていく。立ちはだかるのは全国の覇者であり、「勝利は自らの宿命」と考える卓球の権化ドラゴン。現実の壁にぶつかったペコと強さに目覚めたスマイル。夏、それぞれの道を歩き始めた彼らに、またインターハイの季節がやってきた・・・。
 「青い春」 同様松本大洋の原作を、「GO」 の宮藤官九郎が脚本を担当をして作り上げた、ワクワクするような爽やかな感動を与えてくれる極上のスポーツ青春ドラマだ。高校時代に運動部に所属してインターハイを目指した人ならきっと、ここに登場してくるキャラに共感を覚えるんじゃないかな。うちの高校であたしの所属していた部活は毎年インターハイに出るような強豪だったけど、レギュラーになれる実力などなかったあたしは劣等感の連続。なもんで、この作品ではアクマの気持ちがよく分かる(笑)。チョット臭い言い方になるけど、ひとつの目標を目指して熱くなれる瞬間なんて人生の中でもそうそうあるものじゃないから、自分の過ぎ去った"あの日"に対するほろ苦いノスタルジックな気持ちも芽生えたりして、結構ウルウルきている自分がいたりして(笑)。
 また、登場するキャラクターが誰も高校生には見えないという突っ込みはさておき(笑)、それぞれがみな個性的で、好感が持てるのもポイント高し。窪塚洋介のなんとも不思議感あふれるペコのキャラも悪くはないけど、今回は特にスマイルを演じるARATAのナイーブな演技が光る。でも、ドラゴンを演じる中村獅童(この人、歌舞伎の人なのね)の顔はコワイぞ(笑)。あと、松尾スズキが演じる警官や卓球部のキャプテンの彼のもいい味出してるし。
 それと、彼らのテンポのいい会話がまた作品を楽しいものにしてくれている。例えばペコがヘッドホンステレオを聴きながらやおら「ぼ〜ん!」って連呼する姿にスマイルが「"in the USA"まで歌いなよ。」って諭すシーンなどは、「あ、そういうことなのね。」ってひとりニヤけてました(周りのお客さんは誰ひとりとして理解してなかったみたいだけど(苦笑))。
 そして、この作品のもうひとつの"売り"であるCGをふんだんに使った卓球シーン。とにかくこれがスゴイ!ここまでスピード感あふれる映像になっているとは思わなかった。脚本と映像とが見事に融合して、楽しい作品に仕上がっている。ラストでペコとスマイルの対戦をあえて描かなかったのは、それを具体的に描いちゃうと妙に生々しくなってしまうとも思えるので、ああいう描き方の方が余韻が残ってよかったんじゃないのかな? 

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