ガウディアフタヌーン

 「人生は、ひっくり返ったおもちゃ箱。」
 バルセロナに住むアメリカ人翻訳家カサンドラ。謎の女フランキーから「失踪した夫を捜して」と依頼を受け、高いギャラに目が眩み引き受けてしまう。ところが、調べるうちに、彼らの秘密が次々と明らかに。女が男で、男が女。妻が夫で、夫が妻?果たしてカサンドラはフランキーの夫を捜し出し、事態を収拾できるのか?
 これといった山場はないものの、それでも観終ってホッとする、手堅くまとめた一品。最近奇を衒った作品が世に氾濫しているだけに、こういうある意味"普通"の安心して観ていられる作品って実は希少価値があるかも。とはいえ、この作品に出てくるキャラクターは服装倒錯者だったり、性倒錯者だったり、それぞれ風変わりなところ(あくまでも俗にいう世間一般の価値観に照らし合わせてという意味)があるから、やっぱ"普通"の作品とも違うのかな?(笑)物語の中心となるカサンドラだって、母親との確執で18のときに家を飛び出して、それ以来世界各地を転々として、何かに悩んでるというか、葛藤を抱えているみたいだし。
 それでも、みんなそれぞれの価値観の中で一生懸命に生きているという感じが伝わってきて、監督の個々のキャラクターに対する愛情、温かい視線が感じられる。それに応える形でそれぞれの役者も堅実な演技に徹しているのが好印象。エイプリルを演じる今回のあたしのお目当てのジュリエット・ルイスも、相変わらずのキュートさと危なさの微妙なバランスを保っていて、それが嬉しい(笑)。「誘拐犯」 のときは妙に老けたな〜って思ったけど、あれはやっぱり役作りだったのね。
 それから、舞台がバルセロナということで、作品中にはサグラダ・ファミリアやグエル公園を始めとして、アントニオ・ガウディの建築物が要所要所に出てくる。残念ながらあたしはガウディに関しては不勉強でサグラダ・ファミリアくらいしか知らなかったんだけど、ガウディのファン、彼の建築物に造詣の深い人だったら、視覚的にもきっと楽しめる作品であるに違いない。

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