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群青の夜の羽毛布

 「生きることは痛い。」
 大学生の鉄男は、丘の上の一軒家に住む憧れの女性さとると付き合い始めるが、家庭的で物静かな一方で激しく愛を求めるさとるの姿に、何かに怯えているさまを感じ始める。そのさとるは母親と妹のみつるとの3人暮らし。一見平和そうな家庭で暮らすさとるだが、彼女は、厳格な母親に必要以上に抑圧されてきたことが明らかになる。鉄男は彼女を母親の呪縛から救おうとするが、逆に母親の鑑賞はエスカレートしていく。鉄男との関係すら脅かされ始め、さとるは心身ともに追い詰められていくが・・・。
 原作は山本文緒。その原作が血の繋がりの呪縛、家族の崩壊、アダルトチルドレンなどの興味深いテーマを軸にそういった諸々のものに苦しみ、だけど生きていかなきゃならない女性を上手く描写していたこと、また、以前仕事でアダルトチルドレンの問題に関わっていたこと、そして何よりも主題歌が鬼束ちひろの"茨の海"(こういうテーマの作品にこの曲を用いるというのはセンスがいいね。音楽も羽毛田さんが担当してるし)だということで、こりゃ観なきゃいかんでしょ(笑)ということで観に行きましたです。
 原作に近い雰囲気は出ていたと思うが、それぞれの登場人物のより細かな感情の動きがもっと掘り下げて描かれていたらより印象的な作品になっていたと思う。物語の素材はいいんだから、あとはその味付けだよね。特に本上まなみ演じるさとるの家族の呪縛から逃れようとしても逃れられない心の葛藤、鉄男と出会い、この人ならきっと自分をここから救い出してくれると思いながらも色々と悩み苦しみ、その思いが爆発してラストのあの行為に走るところ、そしてラストシーンでのさとるの呟きなど、この作品の根幹をなしている部分だと思うのだが、もう一押し足りないような気がする。だから、心に迫ってくるものがそれほどなかったというのが正直なところ。あたしは原作を先に読んでいたから「ここはこういうことなんだよな〜。」と理解は出来たけど・・・。本上まなみは結構いい雰囲気を出していたわけだから、勿体ないというかなんというか。
 (ここチョット伏字にします。読むときは反転させてくだされ)→また、鉄男がさとるの女性自身を愛撫しようとするのを「汚い!」って拒むシーンは、原作ではその前のフェラチオのシーンと対をなすことで、さとるは他人のモノはOKだけど自分のモノは汚いと思っていると対比させる効果があったわけだけど、これだけがいきなり出てくるとなんだか唐突。さすがに本上まなみにフェラチオさせるのがマズイんだったら、このシーンは削除してもよかったのでは?←(ゴメンなさいね。生々しい表現で) それと、鉄男とさとるの母親が寝るのだって、鉄男のさとるの母親(藤真利子の歪んだ厳格な母親役は見事だと思う)に対する感情が事前に描かれていないことにはこれまた唐突な印象を与えてしまうと思うのだけど。そして、物語のキーマンとなるべきさとるの父親の描写も不足している。約2時間という時間の制約があるのは分かるけど、せっかく父親役で名バイプレイヤー小日向文世を起用しているのだから、これまた勿体ないと思うのでした。
 とはいえ、エンディング・テーマで"茨の海"が流れると、やっぱりこの曲はこの作品のイメージにピッタリだよな〜と、嬉しくなってしまう単純なファン心理(笑)。でも、あんな中途半端なところでフェイドアウトさせないで、フルコーラス聴かせて欲しかったな〜(って、何しに映画観に行ってんだか)。

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