がんばれリアム
「リバプール生まれ、7歳。」
リアムは、リバプールで家族5人と暮らすちょっと内気だけど元気な男の子。彼が生きる1930年代のリバプールには、不況の波が押し寄せ、父の働く造船所は閉鎖。仲の良かったご近所や、家族の間にも争いが生じていく。そんな時リアムは、辛そうなお父さんのそばにはじっと座り、疲れきったお母さんには、髪を梳いてあげる。リアムは何にだって一生懸命。
「ハイ・フィデリティ」 のスティーヴン・フリアーズ監督が描く、貧しいながらも健気に一生懸命生きる当時のイギリス家庭の姿。そこに人種差別の問題や、宗教観の違いによって生み出される争いが組み込まれ、決して綺麗ごとに終わらないほろ苦さ、一種の痛さも感じられる。特に父親がファシストの活動に身を入れることによって導き出される悲劇的なラスト、これには心が締め付けられるようで観ていて辛かった。こんな平和ボケした日本に暮らし、本当の貧困も知らず、何の宗教観も持ち合わせていないあたしには、なんで同じ人間同士がこんなツマラナイことで争わなきゃならないんだろ?と思ってしまうのだけど、イギリスではこれが日常の現実なのだろう。
そんなストーリーのアウトラインだけを見てしまうと、単なる痛いだけの作品になってしまいそうなのだけど、リアムを演じるアンソニー・ボロウズの演技に救われる。これが映画初出演とは思えない堂々たる子役ぶり。健気で一生懸命で、それでいてユーモラスで、彼の演技を観ていると心が休まるというか、何とも微笑ましくなってしまう(母親の裸を見てしまったときの慌てぶりといったら(笑))。彼がラストで姉テレサの髪を梳いてあげるシーンでは、ほろ苦さと同時にポカポカした気持ちを感じることができた。
また、テレサを演じるミーガン・バーンズも魅力的だし、父親を演じるイアン・ハートも「クローサー・ユー・ゲット」 のときのちょっとトホホな感じとは違い、頑固で生真面目な感じがまたいい。この人も演技派だね〜。