火星のカノン
「この星の恋愛は、いつも痛々しくて、とても幸福。」
29歳の絹子。恋人の公平とは火曜日だけしか会えない。公平は、火曜日以外は妻子の待つ自分の家へ帰らなければならないから。そんなある日、前にバイトが一緒だった聖と出会う。聖はあれこれ絹子の世話を焼いてくれたり、公平と別れろ別れろと口うるさい。でも、絹子は公平と別れることができない。実ることのない痛い恋愛、そんな彼女の恋愛は、どこへたどり着くのだろう・・・?
2001年東京国際映画祭アジア映画賞受賞作品。たまたまその受賞式に立ち会ったので、こりゃ映画も観とかなきゃいかんかなって、あたしもかなりのお人好し(笑)。
ここに描かれるのは、ホントにありきたりでささやかな生活、そして恋愛。特段テンポがいいわけでもないから、ともすると、ただ退屈なだけの作品になってしまいそうなところだが、物語に登場する絹子も聖も公平もそして真鍋も、演じる俳優たちの演技がとても自然で体温を感じられるために、かなりのリアリティを感じられる作品に仕上がっている。
パッと見はさえない中年親父の公平(だけど、公平を演じる小日向文世の存在感は流石だ)と別れられない絹子の心の揺れ、痛い気持ち、そんな絹子を愛してしまう聖の切ない気持ち(絹子に対する愛情表現、絹子と公平を別れさせようとしてあれこれ画策するその姿が、微笑ましくも痛々しい)、恋をすることの痛みを描きつつ、それでも人は恋をする。それがどのような形態を取ろうとも、恋をするのは素敵なことだからなのだろうか?そして、ラストで絹子が流す涙に、ここから彼女の恋愛がどこへ向かうのだろうかと思ったりして。あのラストには説明し難い余韻が残る。
とまあ、好意的なことを書きつつも、あくまでも個人的な理由から彼女たちに共感できない部分があったのと(だから途中から傍観者みたいになっちゃった。リアリティは感じるけど感情移入はできないって、なんか中途半端だな)、鑑賞当日は体調がすぐれずボ〜っとしてたもんで、余韻は残るが心から楽しめたとは言えないのが残念。再度体調万全のときに観てみたい。