マルタ...、マルタ

 「私を見て。私を愛して。そして私の名前を呼んで―。」
 マルタは両親の愛を知らずに育った。幼い頃の弟の溺死が、一家に暗い影を落としていた。献身的で優しいレイモンと結婚し、娘リーズと3人で暮らす今でも、マルタの心には深い傷が残っていた。家族に愛された記憶がないマルタは、レイモンやリーズを愛していながらもそれを表現する術を知らず、時に突飛な行動に出てしまう。彼女に何より必要なのは真実の家族の愛・・・。
 う〜ん、これはキツイ。というか、ひたすら暗い作品だ。過去に受けた心の傷がトラウマになって家族の愛を知らないまま大人になって、家族ができてもその家族への愛情表現ができない女性、しかも生活は貧しく不安定。そんな中で懸命に生きようとする姿は分からなくもないけど、どうしても彼女に共感や感情移入ができないまま終わってしまった。結局彼女のトラウマとなる事象が具体的に描かれていない、両親との関係も今ひとつ分かり難い(姉に邪険にされているというのは描かれていたけど)、それらのことが積み重なって感情移入をすることを阻害していたのだろう。
 そんな中、マルタの夫のレイモンや娘のリーズの献身ぶり、マルタを思う気持ちというのは何となくではあるけれど、伝わってきた気がして、それがこの作品をにおける唯一の救いだったと思う。

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