木曜組曲
「みんなで、殺した?」
4年前、謎の薬物死を遂げた耽美派大女流作家重松時子。時子を偲び毎年時子の館に集う5人の女たち。それぞれが時子の死に割り切れない思いを残し、いまだに時子の存在から抜け切れていない。今年の偲ぶ会は謎の花束が届いたところから始まった。花束に添えられた告発メッセージ「皆様の罪を忘れないために、今日この場所に死者のための花を捧げます・・・。」時子の死は自殺か他殺か?物書きを生業とする女たちはそれぞれの推理を展開する。しかし推理は二転三転、この個性的な女たちの駆け引きの末にたどりつく真相とは・・・?
原作は恩田陸の傑作ミステリー。この原作本は舞台は館の中だけという限られた空間の中で、一癖も二癖もある女たち(人物描写も非常に上手い)の緊張感あふれる駆け引きが繰り広げられ、そのまったく先の読めない展開にこちらも完全に引き込まれて最後に「おお〜。」と唸らされた見事な作品だった。読み終わって、これは舞台劇にしたら面白いものが出来るんじゃないかと思ったが、こちらは舞台ではなく映画化。はたしてその出来映えやいかに?という興味のもとに劇場へ足を運んだ。
オープニングの時子が死亡したときに刑事役で竹中直人が顔見せで出るとき、花屋の青年が花を配達するときを除けば出演するのは5人の女たちと回想シーンで出てくる時子の6人の女たちのみ。それぞれの女優がそれぞれのキャクターを演じ(女優の顔ぶれからキャストを予想していたのだが、西田尚美と富田靖子の配役が予想と逆になっていたのは意外だった)、原作にほぼ忠実な作りで展開されていく物語(事件の真相はやや異なっていたが)は、回想シーンを上手く挿入することで映画らしい作品に仕上がっているといっていいだろう。いろんな美味しそうな料理が色々と出てくるところなんかも舞台では無理だと思うしね(笑)。
ただ、原作にあった女たちの火花散るような緊張感あふれる駆け引きがここでは些か薄味で、緊張感というよりもかなり語弊があるかもしれないけれど、なんだか和やかな雰囲気の中で謎解きが進められていくように思えたのは気のせいだろうか?緊張感が持続することでラストの真相が効果的になると思うのだけど。これって、先に原作を読んでいて、展開を知っているからそう感じてしまうのかな?
とはいえ、これほど豪華な女優陣の共演はそうそうお目にかかれるものではないし、原作と真相を変えつつも(これは映画にする上では必要なことであろう)、しっかりと余韻が残るということで手堅くまとめている作品だと思う。