NARC
ニック・テリスは正義を信じ、麻薬一掃のため囮捜査に身を投じた警官。だが、任務中に関係のない市民を誤射してしまう。深い悔悟の念に苛まれ警官の職を辞そうとする彼だったが、潜入警官殺人事件が起き、その捜査を担当するように要請される。幼い赤ん坊を抱えた妻の反対に耳を傾けながらも、彼の人間としてのモラル、責任感は断ることを許さなかった。しかし、被害者マイク・カルベス刑事のパートナー、ヘンリー・オーク刑事との捜査は、彼にさらに深い葛藤をもたらすものとなる・・・。
いや〜、久しぶりに骨太な刑事ドラマを観せられた気がする。真相を追い求めようとする男たちの熱い思い(そう、かなり男臭い作品なのだ)、切なくなるほどの人間の弱さ、脆さ、二転三転して最後まで息をつかせぬ展開、決して派手ではないけど生々しくリアリティーをもって迫ってくる麻薬捜査官という世界。この作品の試写を観て製作総指揮を買って出たというトム・クルーズの映画を見る目の確かさをあらためて思い知らされる緊張感溢れる作品に仕上がっている。
ヘンリーを演じるレイ・リオッタは貫禄十分。「ハンニバル」 でレクターの餌食になるあの情けないキャラはどこへやら(笑)、相棒を殺され、その犯人を必死で挙げようとするその姿、何故彼がそこまで必死になるのか、彼の語るあるエピソードが伏線となってその理由は徐々に明らかになってくるのだけど、そこに秘められた"あるもの"を守ろうとする姿には胸が熱くなる。
一方、ニックを演じるジェイソン・パトリックも、スクリーン上でお目にかかるのは久しぶりという気もするが、かつて潜入捜査官として活躍するも、作品の冒頭で語られるある事件をきっかけとして一線を退くはずが、事件にのめり込み、それを反対する家族との板挟みになり葛藤しながらそれでも真相究明に突き進む"刑事"としての性。それを見事に演じ切っているのがお見事。
物語の中心となるこのふたりのぶつかり合いに引き込まれ、しかも事件の真相は最後まで読めない分、最後に明らかにされるマイク・カルベスの実像と物語の結末は衝撃的であまりにも哀しすぎる・・・。はたして、ニックはあの"テープ"をどうしたのだろうか?