スクール・オブ・ロック
「いつだって夢中になれば、人生の成績は"A"がとれる!」
のっけから恐縮だが、いきなり暴言吐かせてもらいます。この作品は、全"ロック・ファン"必見!の作品。もし自称"ロック・ファン"で、この作品を観て何も感じない人がいたら、あたしはその人を"ロック・ファン"とは認めないし、そういう人たちとロックの話はしたくない。と、言いたくなるくらい、この作品はロックに対する深い深い愛情が満ち溢れている、まさしく傑作!と呼ぶに相応しい作品なのだ。
ストーリーはいたって単純。自らのバンドをクビになって、居候しているアパートも追い出される寸前のギタリスト、デューイ・フィンが、アパートのルームメイト、代用教員のネッドに成りすまして、名門私立小学校に代用教員として潜り込み、そこで出会った音楽の才能溢れる生徒たちにロック・バンドを組ませてバンド・バトルに出場し、賞金Getを目論むというもの。その過程で、親の敷いたレールの上を走るだけだった優等生の子供たちが、ロックと出会うことで型に嵌った生活から抜け出し(この生徒たちの姿に、ロックに出会う前のあたし自身の姿が重なった。あたし自身も、ロックと出会う前は、単なる優等生。でも、ロックと出会ったことで人生が変わったもんな〜。で、その結果が今のダメな大人だったりするのが哀しいけど(汗爆))、デューイ自身も単なる自己チューオヤジから脱却していく。この辺はまさしく定番。だけど、そんなことはどうでもよく、ロック・バンドを結成してクラスみんなが一致団結していく様がなんとも素敵だし、バンドはステージに立つ人間だけがスターなのではなく、ローディー、セキュリティ、照明、衣装、マーチャンダイズのスタッフなどの裏方あってのもの(ついでにグルーピーもね(笑))。それをしっかりと示し、子供たちを対等に扱うというデューイの姿勢がいい。デューイが実は偽者の教師だとバレても、彼と子供たちの間にできた絆は決して切れることなく、ラストのバンド・バトルに突入していく。まさしく大団円を迎えるがごとく繰り広げられるパフォーマンス(このオリジナル楽曲"School
Of Rock"が歌詞、サウンドともなんともイカしている!)には、堪えきれずに涙してしまった。これぞまさにロック!オープニングではステージ・ダイブしても誰にも受け止めてもらえなかったデューイが、ここではしっかりと観客に受け止められるというのがなんとも象徴的だ。素晴らしいステージは、それ一発で観客の心を掴むものなんだよ。そして、もう、このデューイを演じるジャック・ブラック自身が"ロック"そのものって感じなのがなんとも痛快だ。作品としては個人的には好きになれなかった「ハイ・フィデリティ」 でも、彼の存在感だけは異彩を放っていたもんね。そういや余談ながら、ジャック・ブラックとジョーン・キューザックって、この作品でも共演してなかったっけか?
とまあ、ストーリーもそうなんだけど、それ以上にロックを深く愛していればいるほど思わず笑ってしまう小ネタが満載なのも嬉しい。デューイの部屋やバンに貼りまくられたポスターやステッカー等の類。BLACK
SABBATH、OZZY OSBOURNE、IRON MAIDEN、MINISTRY、NINE
INCH NAILS、CANIBAL CORPSE、RAMONESなどなど枚挙に暇がない。で、彼のギターはギブソンSG(アンガス・ヤングだ!)で、生徒のザックに持たせるのはフライングVだし、クラスの最初の音合わせでは"Iron
Man"、"Highway To Hell"、"Touch
Me"、"Smoke On The Water"のフレーズが飛び出すわ、LED
ZEPPELIN、MOTORHEAD、AC/DCなどの名前が飛び出すわ、もう笑うしかない。オマケに、生徒たちに宿題として渡すCDのセンスが素晴らしい。コーラス担当のブロンディにはモチロンBLONDIE、ギターのザックにはジミヘン、さらに凄いのはここから。キーボードのローレンスにはYES、ドラムのフレディにはRUSH、そしてコーラスのトミカにはPINK
FROYD(しかも、"The Great Gig In The
Sky(虚空のスキャット)"だよ!)と、監督のリチャード・リンクレイター&脚本のマイク・ホワイト&デューイを演じるジャック・ブラック、非常に良く分かってらっしゃる!(笑)
その他にも、子供たちに楽器をプレイするだけでなく、そのときのアクションを教え込むシーンがこれまた笑える。ザックにアクションを教えるときの表情、仕草、ザックが自分の部屋で親に隠れてこっそりとアクションの練習をするのは、間違いなくピート・タウンゼントだし、フレディにはしっかりとスティック回しを教え込むわ(クライマックスのライヴ・シーンでしっかり回してます(笑))、スティックを落としても背中にしっかりスペアのスティックを仕込んでおくとか。あ、そうそう、デューイが反MTV派だということが分かったのもなんだか嬉しいし(謎笑)、ロック講座とばかりに黒板一杯に書かれたロック相関図。これがまたロック・ファンのオタク心をくすぐるに十分。そういや、デューイの正体がバレる直前に「うちの子がデヴィッド・ゲフィンに熱を上げてるんです〜。」などという母親の一言がまた可笑しかったりして(笑)。
ちなみに、バンド・バトルでのデューイのステージ衣装、スクール・ユニフォームは間違いなくアンガス・ヤングを意識している。となると、当然"School
Of Rock"の最初のリフがAC/DCっぽいのも頷けるし、ついでにロックの道を極めるのはまだまだ先が長いぞということで、バンド・バトルに優勝できないのは当然だし、優勝できなくても観客の熱いコールに応えてのアンコールとして演奏するのが"It's
A Long Way To The Top"というのも当然の帰結なわけ。AC/DCといえば、デューイの台詞の中で、"For
Those About To Rock We Salute You"の一節が使われていたっけ。
そして、それぞれのシーンに絶妙にマッチしているサントラのセンスがこれまた絶妙。特に、スティービー・ニックスが好きだという堅物校長のマリンズをバーに連れ出して、ジュークボックスからポンと"Edge
Of Seventeen"をかける間がかなりあたしのツボ。どうせなら、ジョーン・キューザックのスティービー・ニックスの物真似を見たかったな〜(笑)。サントラCDには収録されていない珠玉のクラシック・ロックが炸裂していたのも嬉しかった。もっとも、最近の楽曲ではなく、その多くがクラシック・ロックばかりというところに、妙に細分化されてしまった現在のロック・シーンに対する警鐘が感じられたというのは考えすぎかな?(つうか、リチャード・リンクレイター監督やマイク・ホワイト、ジャック・ブラックの世代的なもの?)そんな中で、2003年にロック・シーンに彗星のごとく現れたTHE
DARKNESSの楽曲が何の違和感もなく溶け込んでいたのは賞賛に値する。彼らの楽曲は、他の偉大なバンドの楽曲と同様、普遍的な魅力を持っているということが再認識できたから。
さらに、大団円のエンディングを迎えた後のエンド・クレジットの使い方。このセンスにはもう脱帽するしかない。笑って泣いて、ロックが好きでよかったと心から思える作品。いやもう、ロック最高!ロック万歳!