シッピング・ニュース

 「心の傷は、いつか癒える。」
 失意の中、娘と故郷ニューファンドランド島に戻った中年男クオイル。凍てつく岬に建つ一軒の家。新しい生活、新しい仕事、新しい仲間、新しい出会い。そして封印されていた過去・・・
 ラッセ・ハルストレム監督&ケヴィン・スペイシーのコンビということで、公開前からかなり期待をして待っていた作品。これがまたいい意味での"ハルストレム作品"の定番的な作りの作品に仕上がっている。なんというか、と〜っても地味なんだけど、物語の中に引き込まれるし、ハルストレム監督の人物描写に優しさ、暖かみが感じられるから安心して観ていられるというか、そんな感じ。もっとも、この地味さに評価は分かれるかもね。でも、地味なんだけど、ラストに向かうにつれジワジワとこみ上げてくるものがあって、最後の岬でのシーン、ケヴィンの語りにはすっかり目頭が熱くなったりして。この静かなる盛り上げ方が上手い。ということは、やっぱりいい作品なんだよな〜。それと、全編に流れるケルティック・テイストの音楽。これが心の琴線に触れて、作品の盛り上がりを一層引き立てている。
 ケヴィンの演技も今回はかなり抑え目に感じられるものの、その中で妻に死なれて失意のどん底の中年男が自分の故郷で徐々に自信を取り戻し、再生していく姿を絶妙なタッチで演じていて、今までとはまた違ったケヴィンの新たな一面を発見した気分だ。やっぱどんな役でも自分のものにしてしまうケヴィンは素晴らしい。あたしのようなケヴィン・ファンには、彼の一流の演技が堪能できること、それだけでもポイント高しかな。
 とはいえ、ケヴィンと珍しく嫌な奴を演じるピート・ポスルスウェイトとの絡み("キントvsコバヤシ"の再現か!?)なんて、もっとふたりの火花散る対決を期待していただけに些か肩透かしだったり、ジャックとデニスの父子の確執がラストで解かれるシーンや、ウェイヴィやアグニスの抱える"秘密"についても結構あっさりというかサラっと描かれていたのがちょっと「あれっ?」って思ったりして。時間が限られているから仕方がないとはいえ、この辺りをもう少し踏み込んで描いてもよかったんじゃないかな(それとも、これって意識的なのかな?)。モチロン、それでも十分に伝わるものはあるけど、せっかくの豪華キャストなんだから、使わない手はないと思うんだよね。なんか勿体ないな〜。とはいいつつも、脇役個々のエピソードをあまり描き過ぎると、かえって作品の焦点がボヤけてしまう恐れがあるから、これで良かったって捉え方もあるよな〜。って、一体どっちなんぢゃ〜!ちなみに、出番は少ないけどケイト・ブランシェット演じるクオイルの元妻ペタルは強烈な印象を残している。

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