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空の穴

 「人生は曇ってばかりじゃない。」
 ドライブイン「空の穴」で料理人として変わらぬ日々を送る市夫は、旅の途中で恋人に捨てられて野宿を続ける妙子と出会う。店を手伝う妙子に、次第に惹かれていく市夫。東京への旅費が貯まった日、妙子が市夫に声をかける。「...一緒に寝ます...?」
 未見だけど出演者全員が死んでしまうという、かなり強烈らしい「鬼畜大宴会」 の熊切和嘉監督の、今度は思いっきり後味のいい作品。
 寺島進演じる市夫は、あたしよりも何歳か年上の設定なんだろうけど、かなり年下の妙子に対する揺れる気持ちや、誠実さの裏返しなんだろうけどあのなんとも不器用なところ、そしてなんかチョット情けないところなど、結構「そうそう。」って共感できる部分があって感情移入が容易だった。また、ラスト近くで妙子が出て行こうとするのを懸命に押しとどめようとする姿、「なんだよ、ウジウジしてんな〜。」という気持ちと「もうチョットだから頑張れ〜!」という相反する気持ちが心の中で絡み合って、なんだか複雑な気持ちに捉われたりして。でも、あの市夫の気持ち分かるんだよね〜。
 一方、妙子は個人的には別に好きなタイプの女の子ではないけれど、こんな女の子いるかもな〜と、リアルさを感じられたし、彼女を演じる菊地百合子にも好感が持てた。
 ラストはなんともほろ苦く、決してハッピー・エンドとはいえないけれど、それでも妙子との出会いを通じて一歩前進していく市夫の姿に素直に爽やかな感動を覚えた。それと、舞台となる北海道の広大な空、これがまたいいんだ。なんかまた北海道に行きたくなっちゃった。この熊切監督、全体的な観せ方が上手い人だね。ただ、あえて苦言を呈するとすれば、正直時間がやや長いと感じられたので、その辺のまとめ方をもう少し工夫してくれたらもっといい作品になっていたと思う。もっとも、それを差し引いても久々の邦画の秀作なのは間違いない。
 ちなみに、映画の冒頭で妙子たちが道を尋ねるお婆さんって、ドライブイン「空の穴」として撮影に使用したドライブイン「旭」の実際のオーナーさんなんですって。

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