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ダンサー・イン・ザ・ダーク

 「魂の歌声は、誰にも止められない。」
 「奇跡の海」のラース・フォン・トリアー監督の最新作。1960年代のアメリカの片田舎。チェコからやって来た移民のセルマは、女手ひとつで息子ジーンを育てながら工場で働いている。周囲の人々の温かい友情に包まれて貧しいながらも日々の暮らしを送るセルマだが、彼女には人には言えない悲しい"秘密"があった。それは、彼女は遺伝性の病気で視力を失いつつあり、いずれ失明してしまうというもの。息子ジーンも手術を受けない限り彼女と同じ運命を辿ることになる。ジーンに手術を受けさせるために彼女はコツコツとお金を貯める。そんな彼女の唯一の生き甲斐はミュージカル。アマチュア劇団で稽古したり、仕事帰りに友人のキャシーとミュージカル映画を観るのが何よりの楽しみだった。
 しかし、ある日セルマがジーンのために貯めていたお金が何者かに盗まれてしまい、そこから彼女の人生は激変してしまう・・・。
 泣いた、ボロボロ泣いた。"魂を揺さぶるソウルフルでエモーショナルな映画"といっていいだろう。21世紀の最初にこんなにも強烈な作品を見せつけられるとは・・・。主人公を悲劇のどん底に落とすというのが観客を感動させる一つの常套手段と言えなくもないし(例えばセルマの空想でのミュージカル・シーンの華やかさと現実に戻ったときの落差の大きさ)、あれがホントに"ベストの選択"なのかどうかという点では議論が分かれると思うが、それでも"息子への愛"に殉ずる母親というのが痛いほどに伝わってきて、ラストシーンでは涙が止まらなかった(キャシーの「心の声を聞いて!」というセリフと同時に涙が溢れてきた)。この気持ちを言葉にするのももどかしく、終映後もしばらくはその余韻にひたっていたかった。
 それにしても、セルマを演じるビョークの表情豊かな見事な演技はどうだ。これが演技初体験とは思えない。そして、彼女の歌声、本職だから当然といえば当然だが、心に深く沁み込んできた。
 余談ながら、デヴィッド・モースって相変わらず制服姿が似合うのが妙に可笑しかった。って、こんなトコで落としてどうする(^^;)。

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