ディナーラッシュ
「キッチンより愛をこめて―」
ニューヨーク、トライベッカ。この街の一角で、長年、人々に親しまれていたイタリアン・レストラン「ジジーノ」にも、いよいよ変化の波が訪れていた。オーナーのルイの意に反して、彼の息子であるシェフ長のウードは、この店をトレンディ感覚あふれる高級レストランへと、変貌させてしまったのだ。やがて夜になり、この一流レストランに個性豊かな客が顔をそろえる。ルイのビジネスをまるごと乗っ取ろうとたくらむクイーンズのマフィア、ウードと愛人関係にある女性料理評論家、あるいは鼻持ちならないギャラリーのオーナーや、ウォール街の証券マンなどなど。そして、事態は思いがけない結末を迎えることになるのだが・・・。
ルイの長年のビジネス・パートナー、エンリコが2人組のマフィアに射殺されるオープニングを発端として、ニューヨーク、トライベッカに実在するイタリアン・レストラン「ジジーノ」を舞台に(撮影も実際にここで行なわれたとのこと)、取り立てて目新しいことをやっているわけではないけれど、レストランの一夜という限られた空間と時間の中でそれぞれにテンポよく入り乱れ、絡み合う人間模様が非常に面白く(ルイとウードのレストラン経営をめぐる父子の確執とか、ルイとエンリコの娘ナタリーとの関係とか、アシスタント・シェフ、ダンカンのギャンブル狂いの話とか、ウェイトレス、ニコールをめぐって火花を散らすウードとダンカンとか、博学のバーテン、ショーンとか、枚挙に暇がないほど)、それらを最後にはしっかりと着地させる脚本がお見事だ。
それと、脚本の秀逸さもさることながら、この作品にこれだけ惹きつけられるのは、きっと登場人物がどれも個性的で一癖も二癖もあって、しかも魅力的にしっかりと人間が描かれているからに他ならない(特にルイを演じるダニー・アイエロの渋さとカッコよさには痺れたな〜)。この作品の監督のボブ・ジラルディは、実際に「ジジーノ」のオーナーのひとりでもあるそうで、彼のビジネスを通しての人間観察の成果がこの作品にしっかりと活かされているということか。
今回この作品を観るにあたって、特に事前の下知識みたいなものをほとんど仕入れずに観たんだけど、それだけに、ラストをああいう形で締め括るとはややビックリ。だけど、思い返してみると、ある登場人物の配置の仕方に唯一「?」マークが付いていたのが、この結末に向けてしっかりとはめ込まれていたということが分かって唸らされたりして。すべての登場人物が無駄なく機能する展開ってある意味凄いことだよね。
あとね〜、作品中で厨房での調理シーンがかなり出てくるんだけどさ、この料理がどれも美味しそうなの。美味しいものに目がないあたしにとっては、こういう視覚的にも楽しませてくれる作品って大好き。てなわけで、美味しいイタリアンをお腹一杯満喫できたような、そんな気分にもなれて満足満足(笑)。ラストのセリフのパクリになっちゃうけど、こういう美味しい映画と美味しい料理は後を引くんだよね〜♪(そして後味もいいの)