ダスト
「だれか、私という物語を覚えていてほしい。」
2000年、ニューヨーク。空き巣狙いで古いアパートに押し入った青年エッジは、部屋の住人である老女アンジェラに逆に銃で脅され、100年前にアメリカ西部からヨーロッパへ渡った兄弟の物語を無理やり聞かされる。同じ女性を愛し、宿命のライバルとなったルークとイライジャ。話の途中で発作を起こして倒れたアンジェラを病院へ運ぶエッジ。当初は嫌々話を聞くエッジだったが、いつしか物語りそのものに魅せられていく・・・。
形あるものはすべて消滅するように、人間の存在も"ダスト"に過ぎないとしても、誰かがその存在の軌跡を物語として語り継ぐ限り人間の魂は永遠に消えない、という着想が興味深いミルチョ・マンチェフスキー監督の、「ビフォア・ザ・レイン」 (未見)以来7年ぶりの作品。そう、確かに着想は面白い。でも、本来ならもっと壮大な物語になるであろう100年前の物語が、現代とクルクル入れ替わる展開のためか、些か散漫な印象を与えてしまうのが惜しいところ。そして、これはアンジェラの"物語"で、彼女が物語の"語り部"なのだから当然といえば当然なんだけど、ときにアンジェラのその"語り"が鬱陶しかったりして。そんなことを言ったらこの作品自体成り立たないんだけどさ(苦笑)。
とはいえ、真偽の程は別にして(そう、あくまでもそれぞれの物語なわけだから、当然脚色があったっていいわけ。って、あたしも素直じゃないわね〜(笑))、後半からラストにかけてこの"物語"、そしてこの兄弟とアンジェラがどのように関わってくるのか、そして彼女が隠し持っていた金貨の謎が徐々に明らかにされていく展開はそれなりに面白い。
そして、アンジェラが死んだ後、彼女の骨壷を抱えて飛行機に乗るエッジの姿から、今度は彼がアンジェラに代わって彼女の"物語"、そして彼自身の"物語"の"語り部"となって彼らの"物語"を語り継いでいくのだろうという、なんというか、希望のようなものが感じられるエンディングには好感を持った。前半部の展開にもっと入り込めていたらより楽しめただろうに、そこが残念だ。