翼をください
「寄宿学校に入るまで
本当の"楽しみ"の意味を知らなかった。」
まだあどけなさが残るメアリーが、不安を抱えて全寮制の寄宿学校へやって来た。彼女はルームメイトのポーリーとトリー、ふたりとすぐに打ち解け、今まで味わったことのない楽しさを感じる。ある朝、ベッドでポーリーとトリーが愛を交わしているのを見つけ、彼女はふたりの関係を自然に受け入れる。しかしある日、それをトリーの妹に発見されたことから少女たちの運命が変わっていく・・・。
1978年にカナダのトロントで実際に起きた、17歳の少女がタクシー運転手をバットで殺害し、彼の生殖器を切除したという事件をベースにした、何とも痛い愛の物語だ。
確かにここに描かれているのは、女の子同士の"愛"。だけど、彼女たちは決していわゆるレズビアンではない(モチロン、あたしは同性愛を否定するつもりはない)。たまたま好きになったのが同性だっただけのことじゃないんだろうか?だけど、やっぱり今の世の中って"普通"と違うことを受け入れるほど成熟していないから、ポーリーを心から愛しつつも、ふたりの関係が噂になった後に厳格な両親と世間体を気にしてポーリーを拒み、結果ジェイクと付き合うトリーの気持ち、そしてそんなトリーの態度に傷付くポーリーの気持ちが痛い。あたしは今まで異性(=女のコ)しか好きになったことがないから、彼女たちの気持ちをすべて理解できるなどと傲慢なことを言うつもりはないんだけど、人を好きになるって、理屈では説明できないことでしょ?だから、こういう愛の形があってもいいと思うんだ。
思うに、ポーリーってあまりにも純粋で繊細な心の持ち主なんじゃないんだろうか?モチロン彼女の複雑なバックグラウンドも彼女の性格形成の一端を成しているんだろうけど。それ故に、トリーの変心に傷付き、その反動でジェイクに決闘を挑み、彼を傷付けて(実話がああいうものだっただけに、もっと壮絶な傷付け方になると思ったのだけど)最後はあのような行動に走る・・・。森で見つけたハヤブサに自分の姿を重ねて、そして飛び立ったのだろうか?裕福な家庭に育ち、両親の期待を背負っていることを自覚しているだけに思い切った行動に走れないトリーと対照的。そんな対照的なふたりだったからこそ、お互いに惹かれ合ったのかな〜?なんて考えたりして。
鑑賞前にはレビューで結構叩かれている記述も目にしていたから、実際どうなるか?と思っていたけど、ポーリー役のパイパー・ペラーボ、トリー役のジェシカ・パレ、そしてそんなふたりを見守るこの物語の語り部であるメアリーを演じるミーシャ・バートンの3人の体当たりの演技も瑞々しく、痛いけど決して後味の悪くない作品だった。