トンネル
「涙が涸れる前に、あなたに会いたい―」
1961年8月13日、ベルリン。一夜にして東西ドイツは分断され、家族や恋人は引き裂かれた。人々はあらゆる手を尽くして東西の垣根を越えようとしたが、今や、国境沿いには頑強なコンクリートの壁が立ちはだかっていた。
それぞれの思いを抱いた人々が西ベルリンで出会い、東側に残してきた人々を救い出そうと、トンネル計画を思いつく。不法出入国を取り締まる東ドイツ国家保安局の警備は日増しに厳しさを増し、常に危険と隣り合わせだったが、それでも彼らはトンネル計画を進める。自由と愛のために・・・。
真実の物語をベースにした、一大スペクタクル・ドラマだ。第二次大戦後、ドイツを分断したベルリンの壁。これをテーマとして、それに立ち向かう人々の姿を緊張感溢れる展開で観せてくれる。このトンネル計画を進めていく過程には、手に汗握り、ハラハラドキドキしっぱなしだった(トンネル計画を放映しようとするアメリカ・マスコミの登場って、何でも商売に結び付けようとするメディアに対する皮肉も込められてるのかな?)。そう、この作品はエンターテインメント性にも優れた作品なのだ。
そして、その計画の中に描かれるそれぞれの思い(家族、恋人を思う気持ちが痛いほど伝わってきた)、分断による痛み。この描き方が非常に丁寧だから、登場人物それぞれに感情移入が容易で、フリッツィとその恋人ハイナーとの"壁"を挟んでの別れには涙が止まらなかったし(この"別れ"のシーンは、映画史に残る傑作シーンだと思う。それと、あそこでハイナーを撃ってしまった東側の兵士が「あ、やっちまった・・・。」みたいな痛々しい表情を浮かべていたのも印象的だった)、"別れ"の後にハリーとフリッツィが"結ばれた"ことも違和感なく受け入れられたし、自分を犠牲にしてもこの計画を成功させようとするカロラの心意気にも胸を打たれる(あの彼女が見せる何ともいえない寂しげな笑みが哀しい)。ラストの脱出劇が成功し、皆が抱き合うシーンなんて、もう涙をこらえるのに必死で(笑)。
長さを全然感じさせないあっという間の3時間。こういう作品が出てくるというのは、ドイツや韓国のような"国家分断の哀しみ"を背負った国ならではなのだろうか。しばらく興奮のあまり震えが止まらなかった。願わくば、このような国家を分断するというような、愚かな事態は2度と引き起こして欲しくない。
ところで余談ながら、ベルリンの壁をテーマにしているのなら、是非サントラにACCEPT の"Balls To The Wall"を使って欲しかったと思ってるのはあたしくらいかしら?(笑)