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ラブストーリー

 「真実の愛は、人生にたった一度だけ。」
 恋に悩む女子大生ジヘが、ある日偶然見つけた35年前の母の手紙と日記帳。手紙には美しく切ない初恋の想いがしたためられ、日記には少女のように恋にときめき胸を焦がす、娘の知らない母の姿が綴られていた。誰かをまっすぐに愛し、愛されていた若き日の母。やがてそこにかかれた真実は、ジヘの恋の運命をも変えていく・・・。
 「超極私的2003年BEST!」 で最優秀作品賞を獲得した「猟奇的な彼女」 のクァク・ジェヨン監督が贈る泣けるラブストーリー第二弾。またしても、しっかりと泣かされた。「猟奇的な彼女」 とは違い、今回はモロに直球勝負。原題の「THE CLASSIC」 のとおりに古典的で、伝統的なラブストーリーの王道を行くかのようなあまりにもベタで、先の読める展開は、一歩間違えると鼻につくだけのものになってしまう恐れがあるのだが、この作品はそんなことをものともせずに、観る者を作品世界の中に引きずり込み、心に深く染み渡り、そして心の琴線に触れずにはいられない、そんな作品に仕上がっているのではなかろうか(そういう意味でも、タイトルは原題のままでよかったような気もするが)。
 ↑で「先が読める」と書いたとおり、結末については観ている早い段階から、というか、チラシの"時を超えた愛の奇跡"という宣伝文句を目にしたときから読めていた。しかし、そのことがまったく致命傷になっていないというのだから恐れ入る。きっとクァク・ジョヨン監督は、別に観客に結末が容易に想像できることなど、なんとも思っていないんじゃなかろうか。「こうあって欲しい。」という観客側の希望を叶え、結末が読めても、しっかりと期待通り、いや期待以上の着地を決めてくれる、その手腕を大いに評価したい。
 それにしても、何がこんなに心を捕らえて離さないのだろう。涙だけでなく、笑いも交えながらジヘ自身の恋愛模様を描いた現在と母ジュヒの恋愛模様を描いた過去を交互に描く構成(ジヘとジュヒの一人二役を演じたソン・イェジンもそれぞれの感情を上手く表現していたと思う)、その中で親友同士がひとりの女性(男性)に想いを寄せるというシチュエーションや、小道具として使われるメールor手紙の代筆、ジュヒはピアノ、ジヘはバイオリンを弾くなどと過去と現在にある種の類似性を持たせる(といっても、テスが自殺を図ったシーンの後にああいうシーンを持ってくるって些か反則気味(笑)。でも、ここでサンミン((葛山信吾+ケイン・コスギ)÷2)だ)とスギョン(こちらは(MEGUMI+武内絵美)÷2)ってとこか)は演劇部員という伏線がしっかりと張ってあるんだよね)という構成が非常に上手いし、先は読めるとは言うものの、ジュナがジュヒに宛てた手紙の差出人をテスにしておくことや、その手紙の中で使われる言葉、サンミンがカードの中で使う言葉、ジュヒがジュナにあげたネックレス、ラスト近くのジュナの死後に語られる言葉など、伏線の張り方にも無駄がない。
 また、ジュヒの恋愛模様というのが、父親が国会議員、親同士が決めた婚約、以前偶然会ったジュナとの再会、婚約者のテスとジュナは親友同士、決して許されない恋、という、なんともベタベタなものではあるんだけど、そこに描かれるなんとも切ない純愛、お互い好きなのに前へと進めない悲恋。ジュヒとジュナのお互いの気持ちに気付いたテスのあまりにも悲壮な決意、ネックレスをはずすことで別れを告げるジュナの気持ち、このような事態を引き起こしたのは自分だと自責の念に駆られるジュヒの気持ち、ベトナム戦争から帰還後再会し、ジュヒの心を解放しようと嘘をつくジュナの気持ち、彼らの気持ちを思うと、胸を痛め、涙する他はない。
 さらに、人物描写然り、感情表現然り、のどかな田園風景やホタル、雨のシーンなどの物語の背景となる描写然り、どの描写も非常に丁寧で、伏線同様どのシーンにもまったく無駄がない。
 そして、やはりハイライトとなるのはラストだろう。(ネタバレ)→ジヘの話を聞いたサンミンが、涙を拭いながらネックレスを外し、ジヘの首に掛けるシーン。余計な説明の言葉など挟まず、この行為だけですべてを悟らせ、至福のエンディングへと導く見事な着地。←(ここまで)結末が見えていたとはいえ、どのように着地を決めるのか、興味津々だっただけに、「そうきたか〜!」と涙ポロポロ。さらには、この後にホタルを捕るシーンを入れることで、現在と過去とが完全に結びついたかのような感覚を覚え、余韻に浸りながらまた涙するのでありました(でも、ふと思ったんだけど、スギョンはどうなったのかな?これじゃあ彼女の立場ないやね(笑)。つうか、あそこのビンタの応酬でケリが付いたってことなのかしら?)。やはり韓国映画は恋愛モノが素晴らしい。あなたは"運命"を信じますか?

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