リベラ・メ
「緊張度3000℃」
韓国、釡山。燃え落ちていく建物を呆然と見守る群衆。恐怖と不安に駆られた人々の中にひとり、微笑を浮かべる男がいた。狙いをつけた建物の構造も風の動きも計算し尽くし、壮大な交響曲を奏でる指揮者のように火を操る男、ヒス。あまりにも辛い少年時代、"火"は唯一の味方であり、"武器"だった。そんな彼の目的は一体・・・?
韓国版「バックドラフト」 とも評されたこの作品、とにかく画面一杯に広がる"炎"が凄まじい。どうやらこれらはCGではなく、本物の"炎"を使用しているらしい。それだけに、画面から伝わってくる緊張感、臨場感は尋常ではなく、一瞬身震いを覚えることさえあった。
この凄まじい映像に、炎に立ち向かう消防士たちのドラマ、トラウマを抱えた放火犯を絡ませて、物語はサスペンス・タッチで展開していく。ところが、このドラマ部分がなんとも弱い。主演の消防士サンウがあたかも自身の"死に場所"を求めるように炎の中に突っ込んでいくその感情というのは理解できるし、後輩消防士にあたるヒョンテの炎に対する恐怖心というのもよく分かる。でも、肝腎の放火犯、ヒスの子供時代のトラウマは理解できるんだけど、放火犯として行動する理由付けがなんとも曖昧で、それが明確に伝わってこず、そうすると、サスペンス・タッチにした意味合い自体が薄れてしまうのではないか、そんな気がする。
物語中の個々のエピソードにはそれぞれ頷ける部分もあるだけに、噛み合わせが悪いというか、なんというか。それぞれのエピソードが整理され、かっちりと関連付けられてラストまで持っていってくれれば"傑作"になり得ただけに、何だか惜しい気がする。言うなれば、悪い意味での"ハリウッド化"してしまったということか。