レクイエム・フォー・ドリーム
「救けて!わたしが壊れてく。」
孤独な未亡人、サラへ、ある日1本の電話がかかってくる。それは贔屓にしているTV番組への出演依頼だった。彼女は来るべき出演の日の為に、若き日に着ていた思い出の赤いドレスを着ようとダイエットを決意する。しかし、ダイエットの為に医者から処方されたダイエット薬に依存するうちに、完全なアンフェタミン中毒に陥っていた。一方、サラの息子のハリーと新しいガールフレンドのマリオンに、彼らの友人のタイロンが麻薬の売人の話を持ってくる。一時は彼らの商売も順調に見えたが、結局上手くいかず、挙句の果てに彼らも麻薬の常用者になってしまう。人生の階段を踏み外してしまった彼らが辿り着くのは果たしてどこなのか・・・。
正直言って最初は退屈だった。なんというか、話が淡々と進んでいくというか。しかし、サラが薬物中毒になって徐々に壊れていくあたりから、スクリーンに釘付け、目をそらすことができなくなっていた。薬物中毒者にありがちな幻覚、幻聴に苛まれるサラの壊れぶり(エレン・バースティンの鬼気迫る演技が凄まじい!)、クスリ欲しさに人間としての尊厳をかなぐり捨てて男に身体を売るマリオン、自らもクスリ漬けになって最後は左腕を切断されてしまうハリー(あの腕の注射針の跡の気持ち悪いことといったら・・・)。これらがスピーディーな映像とともに一気に襲ってくる。エグくて気持ち悪くて思わず「オエ〜ッ」ってなってしまいそうなんだけど、それでも目をそらすことができないんだ。なまじクスリの怖さを声高に訴えられるよりも、この作品のようにクスリに依存するとこうなるんだよ、とその実態を描いてくれた方がよっぽどコワイ。しかも、映像になんともいえないリアリティーがあって、心拍数が上がってしまうような気がする。ラストも当然ハッピーエンドになんかならず、とことん落ちていく彼らの恐怖。ふ〜、なんとも強烈なパンチを食らってしまった感じだ。