誘拐犯

 「胎児の身代金は1500万ドル」
 その日暮らしのアウトロー、ロングボーとパーカー。食い詰めたふたりは精子提供者の資格検査を受けに行った病院の待合室でウマイ話を耳にする。子宝に恵まれない大富豪のチダック夫妻がロビンという女性に代理母として出産を依頼したというのだ。それならば、ロビンを誘拐して胎児の身代金をせしめてやろうと計画するふたり。まんまとロビンの誘拐に成功するも、実は裏社会の大物であるチダックが"掃除人"を派遣して彼らを始末しようと動き出し、事態は思いも寄らぬ方向へ転がりだしていく・・・。
 あの「ユージュアル・サスペクツ」の脚本家、クリストファー・マックァリーの初監督作品ということで、どのような出来栄えになっているのか期待していた。登場人物がそれぞれ一癖も二癖もある連中(もっとも、"並み"の作品に比べたらだけど)で、それぞれがそれぞれの思惑を心の中に抱えながら絡み合い、駆け引きしながらラストへと向かっていく展開はそれなりに興味深いものがある。しかし、「ユージュアル・サスペクツ」とまったく"同じ"ものを期待すると肩透かしを喰らうのでは?あの作品に見られたカッチリとした構成、そして驚愕の展開はここには見られない。意識的なのかどうか分らないけれど、なんか微妙にズレているといえばいいのだろうか、そんな感じ。ただ、劇中の銃撃シーン、これはかなりのド迫力だ。特に音響設備が優れている映画館で観ると、ホントに弾が四方八方から「ヒュ〜ン、ヒュ〜ン!」って飛んでくる錯覚にとらわれる。ラストの銃撃戦なんて、マジでこっちが死ぬかと思った。
 一方、俳優陣の演技に目を移してみると、ロングボーを演じるベニチオ・デル・トロ、彼は相変わらず上手い。思いっきりクールなワルなんだけど、どうも憎めない感じだ。また、ロビン役のジュリエット・ルイス、彼女もある"秘密"(そんなに意外だとは思えなかったけど)を抱えた代理母の揺れる心情を演じきっている。でも、なんか老けたな〜(^^;)。それとも今回のための役作り?
 それにしても、ラストでチダックの妻のフランチェスカが言う「妊娠したわ。」というセリフ、なんとも意味深だ。

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